News Release

食餌療法中は免疫細胞も静かに?

Peer-Reviewed Publication

American Association for the Advancement of Science (AAAS)

新たな研究によると、マウスの小腸内の制御性T細胞集団が固形食物への免疫反応を防いでいるという。なぜ、免疫系は外部から入ってきた細菌を効率よく攻撃するのに、われわれが食べる食物は攻撃しないのか?この疑問は長いあいだ謎であった。だが、Kwang Soon Kimらによる研究結果によって新たな洞察が得られた。研究チームは、高分子をまったく含まない化学的な餌(つまり消化管内に食事性抗原が生じない)でマウスの1群を育てた。そして、それらの抗原を持たない(AF)マウスと、正常なマウス、腸内に細菌を持たない無細菌(GF)マウスとを比較した。GFマウスには末梢Treg(pTreg)細胞がみられたのに対しAFマウスにはpTreg細胞がみられなかった。このことは、食事性抗原が小腸内の大部分のpTreg細胞の発現を誘導していることを示唆している。たしかに、成体のGFマウスに抗原を含まない餌を与えると、小腸内の pTreg細胞の割合は著しく減少し、4週間後には約40%低下していた。これらの結果は、小腸内のpTreg細胞は継続的に産生され、食事性抗原に反応して置き替えられるということを示している。また、Kwangらは抗原を含まない餌またはアミノ酸の餌を与えたマウスに、その後、鶏卵由来のタンパク質を与えた。すると、2週間以内に、それらのマウスに高率で重度の下痢が生じた。まとめると、これらの結果から、小腸内のpTreg細胞は、われわれが食べる食物に対し免疫系がどう反応するかを決定する重要な役割を果たしていることが示唆される。

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