News Release

南米のジカ熱流行はピークに達したか?

Peer-Reviewed Publication

American Association for the Advancement of Science (AAAS)

Policy ForumでNeil Fergusonらは、南米における現在のジカ熱の流行について分析し、流行はすでにピークを迎えた可能性があると示唆している。ジカ熱と小頭症のみならず、他の重大な先天異常との因果関係を示すエビデンスは増加しつつあり、これを受けて世界保健機関(WHO)は、2016年2月に、ジカ熱の流行は国際的な健康上の懸念であると宣言するに至った。未感染集団においてジカウイルス感染症が発生する規模と速度を決定する諸因子に基づき、Fergusonらは、現在の南米における流行は3年で終息するであろうと推定している。この推定は主として、ジカ熱の伝播性と感染サイクル間の期間に基づくものである。著者らによれば、集団免疫が得られると、すなわちある集団の大部分がある感染症に免疫を有するようになると、次の大きなジカ熱流行は十年以上遅れる可能性があるという。また著者らによれば、ジカ熱の拡大の背景にある主な原因である蚊を標的とすることは、集団免疫を妨げることになるため、実際は逆効果となり得ると指摘している。ジカ熱に関連する胎児の合併症を減少させるための鍵となる手段として、保健当局は女性に対して、子供を持つことを数年待つよう勧告しているが、著者らはこれは全ての女性には可能でないと指摘する。著者らは、詳細な地域レベルでの流行のモニタリングを推奨しており、これによって地域レベルでの勧告と妊娠の延期がより効果と実施可能性を増すことになるとしている。

Justin Lesslerらはレビューにおいて、ジカウイルスと、特に直近のアウトブレイクをめぐるこれまでの研究を要約している。2016年6月の時点で、南北アメリカ全体の35ヵ国以上が、地域レベルのジカウイルスの循環を報告している。ジカ熱の症状は軽度である傾向があるが、ウイルスをめぐる最大の懸念は、発達時の胎児に及ぼすその影響である。小頭症は最初に認識された胎児の異常であるが、ジカ熱は頭蓋内石灰化、脳室拡大、眼障害、脳幹形成不全、子宮内発育遅延および子宮内胎児死亡などの、他の胎児合併症を引き起こす可能性を示すエビデンスが増加している。著者らは、ジカウイルスに感染した、有症状、無症状の妊婦を、感染したトリメスターにかかわらず対象とした複数の研究に焦点を当てているが、さらなる長期の研究が必要であると指摘している。彼らはまた、予想されるジカウイルス拡散のパターンについても論じているが、これは予測が難しい可能性があると指摘している。同じ種類の蚊によって伝播するデングウイルスは、南北アメリカを通じて流行を引き起こしたが、媒介する蚊が広く存在するにもかかわらず、北米の合衆国内では持続的な伝播に至らなかった。この理由には、気候だけでなく、建造環境や社会的因子が含まれる可能性があり、これらは全てジカウイルスの伝播に影響を及ぼす可能性がある。ヒトおよび蚊の遺伝学は、現在の流行がどのような結果となるかに関わる可能性がある。著者らによれば、ジカウイルスワクチンは、リスクを有する集団を長期にわたり保護するための最良の方法と考えられる。

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