News Release

ユングフラウヨッホ観測ステーションから:大気中エアロゾルの新規形成過程の解明

Peer-Reviewed Publication

American Association for the Advancement of Science (AAAS)

From Jungfraujoch Station: How New Atmospheric Aerosols Form (1 of 2)

image: PSI researcher, Federico Bianchi, testing a mass spectrometer for the detection of ions at the Jungfraujoch. This material relates to a paper that appeared in the May 27, 2016, issue of <i>Science</i>, published by AAAS. The paper, by F. Bianchi at Paul Scherrer Institute in Villigen, Switzerland, and colleagues was titled, "New particle formation in the free troposphere: A question of chemistry and timing." view more 

Credit: Federico Bianchi

これまで大気中微粒子の核形成に必須とされてきた硫酸ではなく、含酸素率の高い化合物の凝集によって、地球大気の最下層の微粒子が新たに形成されることが、新たな研究によって証明された。大気モデルにより大気中の過程をより良く再現するためは、今後この要素が考慮されなければいけなくなるだろう、と研究者らは語っている。雲凝集核(CCN)とは、雲の水蒸気が凝結する際に核となる小さな微粒子を指す。埃や煤、海の波飛沫に含まれる海塩といった大気中の微粒子の多くがCCNとなることができ、反射能といった雲の特性は大気中のCCNの数や種類に常に影響を受けている。自由対流圏(地表面摩擦の影響をほとんど受けない高度1~11km程度の大気)で新たに形成される大気中のエアロゾル微粒子に関わっているCCNの内訳は、研究者の間でも謎とされており、これらの微粒子とそのCCNとしての役割についての研究は今日まで限られていた。また、大気中のエアロゾル微粒子の形成速度に関する様々なモデルが、硫酸の役割が定かでない中で、実際の過程に対してそれぞれ異なった説明をしてきたことで、この問題の複雑さはさらに増すこととなった。今回、大気中エアロゾルが新しく形成する過程をより詳しく理解するために、F. Bianchiと共同研究者らは、最先端技術を備えた質量分析計と粒子カウンター一式をスイスのユングフラウヨッホにある高高度研究ステーションに設置し、1年分の観測データを取得した。このステーションでは、総日数の15〜20%の割合で微粒子が新たに形成されていることが、過去の研究からわかっている。観測の結果、微粒子の新規形成は、含酸素率の高い有機化合物の濃度が高い日のみにほぼ限って発生していたが、これらの化合物が核形成に貢献できるのは化合物が大気境界層(地表面付近)から鉛直輸送されてから1~3日間の短い期間のみであることが判明した。

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