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宿主組織と結腸微生物叢は複数の粘液障壁で分離されている

Peer-Reviewed Publication

American Association for the Advancement of Science (AAAS)

マウスの全結腸イメージングで、連続的な結腸粘液系が、糞便ペレットが形成される時と結腸から排泄される時に糞便ペレットを被包することにより、有害な可能性のある腸内微生物叢と宿主組織の間の保護障壁を構成していることが明らかになった。同様な結腸粘液系がヒトにも存在するかどうかは不明であるが、粘液障壁形成の誘発因子としての結腸組織の役割を理解することは、大腸炎などの腸疾患の標的化治療介入を開発する取り組みに有用な可能性がある。哺乳類では、腸が、密集したさまざまな共生微生物叢の住処である。腸に住む何兆個もの非常に活性の高い微生物は、健康と疾患の両方に重要な役割を果たす。宿主と微生物との関係は常に相利共生であるわけではなく、多くのタイプの一般的な腸内細菌叢は、曝露されると宿主組織に病原性のある影響を与え、感染や炎症を生じさせる。腸上皮を結腸環境の多数の有害物質から分離しているのは、薄い結腸粘液層であり、これが宿主―微生物叢相互作用を制御していると考えられている。しかし、結腸の長さ全体に渡ってこの粘液系がどのように形成され機能しているかを確認するのは困難であった。Kirk Bergstromらは、全結腸イメージング法を開発してマウスの結腸粘液の起源と構成を解析し、糞便排泄時に宿主組織を有害な可能性のある腸内細菌から保護する役割を評価した。Bergstomらは、結腸粘液系が別個の結腸領域を形成する2種類のO-グリカンに富む粘液から成ることを明らかにした。糞便ペレットが形成されるときは、近位結腸由来の粘液が物質を被包し、微生物叢と宿主の間に一次障壁を形成する。ペレットが結腸を通り抜けるときは、遠位結腸領域で作られた粘液が2番目の層を形成し、これが粘液障壁の強化に役立ち、排泄を促進する。「粘液系がヒトの結腸全体でどのように機能しているかをさらに検討することは、腸疾患を有する多くの患者に標的化治療を行うために重要である 」と関連するPerspectiveでGeorge Birchenoughと Malin Johanssonは述べている。

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