News Release

大気汚染は減少しているものの、その分布から社会経済的格差が浮き彫りになった

Peer-Reviewed Publication

American Association for the Advancement of Science (AAAS)

過去数十年の間に粒子状物質による大気汚染のレベルはかなり下がったが、新しい研究によって、その分布はほとんど変わっていないことが明らかになった。その研究結果によると、1981年に米国で汚染レベルが最高だった地域と最低だった地域は、30年以上たっても汚染レベルが最高と最低のままであり、貧困地域は粒子状物質による汚染レベルがどの時点でも高かったという。この結果から、きれいな空気を得るうえでの根強い社会経済的格差が明らかになるとともに、長年にわたる環境不平等の問題が浮き彫りになった。全体的に見れば、微粒子状物質(PM2.5:大気中に浮遊する粒子状物質のうち、直径が2.5マイクロメートル以下のもの)による大気汚染濃度は、米国では1981年以降およそ70%減少しており、大気質、ひいては人間健康や経済的幸福度は改善している。しかし、大気汚染はその他の汚染や環境危険物質のように均等に分布するわけではなく、大気汚染レベルの増加は、人種や民族や経済の異なるグループ間における格差と関連している場合が多いことがわかっている。ただし、PM2.5の空間分布がどのように経時変化してきたのかは、わかっていない。Jonathan Colmerらは、1981~2016年におけるPM2.5の測定値と、全米6万5000カ所の地理・経済・人口統計のデータを併用した。Colmerらは、汚染レベルの高い地域と低い地域の差が徐々に小さくなったことを見出した。しかし、1981年に汚染レベルが最高だった地域や亜集団は、2016年においても汚染レベルが最高だった。一方、1981に汚染レベルが低かった地域は、2016年においても汚染レベルが低かった。関連するPerspectiveではLala Maが、「Colmerらの研究成果によって、実際に環境正義を実行するにあたっての懸案事項が浮き彫りになった」と述べている。「さらなる調査を行って、時間とともに汚染は減少するものの汚染順位は変わらない理由が判明すれば、政策にその情報が提供されて、汚染分布への望ましくない影響を避けることができるだろう。」

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