News Release

フローレス島の小さなピグミーにおける遺伝子の小さな歴史

Peer-Reviewed Publication

American Association for the Advancement of Science (AAAS)

インドネシアのフローレス島において、小柄な人類の集団が数千年の時を隔てて別々に2回登場したことが、新たな研究により示された。この所見は、東南アジア島嶼部(Island Southeast Asia)における現生人類の生物地理学上および進化上の複雑な歴史に新たな洞察をもたらすものである。フローレス島には古くから小柄な人類が住んでおり、これには古代にいた小柄なヒト亜科であるホモ・フローレシエンシス(Homo floresiensis)が含まれるが、その現生人類との関係は不明であった。さらに、現在フローレス島にはピグミーの一族が住んでおり、その居住地はホモ・フローレシエンシスが発見された洞窟の近くである。フローレス島におけるこれらの低身長の人類の進化の歴史について理解を深めるため、Serena Tucciらはフローレス島のピグミーの遺伝子に目を付けた。著者らは現在のピグミー32人から採取したDNA(10の全ゲノム配列を含む)を分析し、その遺伝子変異について調べた。このゲノム解析により複雑な遺伝的歴史が明らかになり、現在のピグミーがネアンデルタール人とデニソワ人(古代の人類)の両方を祖先に持つことが示されたが、他の古代ヒト亜科との遺伝子流動を示す所見は見つからなかった。また著者らは、フローレス島のピグミーにみられる低身長の表現型は、遺伝的に継承されたものではなく、比較的最近に確立した遺伝子変異に、さらに複数の遺伝子が関与する選択(polygenic selection)が働いた結果であることが示された。これらを合わせると、著者らはフローレス島に現在居住するピグミーはホモ・フローレシエンシスの子孫ではないことを実証したことになり、これにより、フローレス島の2つの集団を特徴づける低身長は別個に2回登場し、少なくとも2つの別個の亜人類系統に由来していることが示唆される。

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