News Release

レンコン構造が細胞治療の鍵!?

ヒトiPS細胞由来膵島移植による糖尿病マウスの血糖値正常化と移植片の回収に成功

Peer-Reviewed Publication

Institute of Industrial Science, The University of Tokyo

Replacing What Was Lost: a Novel Cell Therapy for Type I Diabetes Mellitus

image: Researchers from The University of Tokyo develop a novel device for the safe and effective transplantation of human induced pluripotent stem cell (iPSC)-derived pancreatic beta-cells in type I diabetes mellitus view more 

Credit: Institute of Industrial Science, the University of Tokyo

東京大学 生産技術研究所/大学院情報理工学系研究科 知能機械情報学専攻の竹内 昌治 教授と小沢 文智 特任研究員らの研究グループは、直径6ミリメートルのハイドロゲルにヒトiPS細胞由来膵島をカプセル化したレンコン状構造の移植片を開発しました。

研究グループはこれまで、直径1ミリメートルのハイドロゲルは、マイクロスケールのハイドロゲルと比べて異物反応が抑制される傾向にあることを示してきました。しかし、ハイドロゲル内にヒトiPS細胞由来膵島をカプセル化した場合は、細胞種や種差の影響によりホストから受ける異物反応が強くなってしまうため、移植片の改良が必要でした。

そこで本研究では、直径6ミリメートルのハイドロゲルにヒトiPS細胞由来膵島をカプセル化したレンコン状構造の移植片を作製しました。直径が大きくなると細胞に対する酸素や栄養供給の問題から細胞の生存率を保つことが難しいが、ハイドロゲルのエッジから1ミリメートル以内ではヒトiPS細胞由来膵島が十分な生存率を保つことが示されました。作製した6ミリメートルの移植片は、これまでの1ミリメートルの移植片に比べ、異物反応が抑制されかつ1年の長期移植においてもゲルとしての形態を維持し、癒着なく取り出せることが分かりました。この移植片を糖尿病モデルマウスに移植したところ、血糖値を最大半年以上の長期にわたり正常化することに成功しました。さらに移植片は、ヒトiPS細胞由来膵島を使用しているが、体内で腫瘍形成などは起こしておらず、まとめて取り出すことも可能でした。

レンコン状構造の移植片は異物反応を起こしにくく、また腫瘍形成を起こさずかつ緊急時に取り出しも可能であることから、ヒトiPS細胞由来膵島をはじめとしたヒトiPS細胞由来分化細胞を安全に移植する技術へつながります。今後は移植片の構造や使用しているハイドロゲルの最適化により、様々なヒトへの臨床応用が期待されます。

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本成果は、2021年4月1日(米国東部夏時間)に国際学術誌「iScience」のオンライン版で公開されます。

本研究は、東京大学と国立国際医療研究センターの共同で行われました。


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