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神経幹細胞系列の潜在的能力がマウスにおける脊髄修復を可能にする

Peer-Reviewed Publication

American Association for the Advancement of Science (AAAS)

マウスにおいて脊髄幹細胞を再プログラミングすることで、脊髄損傷後に保護作用を有する乏突起膠細胞の産生を促し、神経細胞の修復を促進させることができると、新たな研究で報告されている。その結果によれば、マウスの上衣細胞には潜在的な転写活性があることが明らかにされ、このことから、同様の機序による常在幹細胞の動員が、中枢神経系損傷後の幹細胞移植に代わる代替法となる可能性が示唆される。「ヒトの脊髄損傷における上衣細胞の役割を理解するためには、脊髄中心管の近傍に、同様の幹細胞が十分な数存在するかどうかを明らかにすることが必要になろう」と、Catherina BeckerとThomas Beckerは関連するPerspectiveに記している。哺乳類では、脊髄損傷によって乏突起膠細胞を含めた重要な細胞が破壊され、これらが神経回路の「配線」の周囲に保護的な絶縁体を提供する。上衣細胞などの常在幹細胞は脳や脊髄に存在するが、損傷後のダメージ修復に必要な細胞の置き換えではなく、瘢痕組織を生成する傾向がある。内在性幹細胞に対して適切な置換を行うようにさせる方法を見つけることは、再生医療にとって主要な目標である。シングルセルトランスクリプトーム解析およびクロマチンアクセシビリティ解析を用いて、Enric Llorens-Bobadillaらは、マウスの上衣細胞が潜在的に乏突起膠細胞への分化能を有しており、マウスでは脊髄損傷の修復を助けることを発見した。Llorens-Bobadillaらは、乏突起膠細胞を産生するプログラムは、成獣の上衣細胞では潜在的な状態にあるが、転写因子Olig2を発現させることで活性化され得ることを実証した。実際、脊髄損傷後にOlig2のin vivo発現を誘導すると、局所の上衣細胞による新たな乏突起膠細胞の速やかな産生が促され、これにより、損傷部位の近傍で軸索の修復とニューロン接続の改善が促進された。

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