News Release

バイオ燃料を微細藻類から高速かつ低エネルギーかつ持続的に抽出

Peer-Reviewed Publication

Kumamoto University

Fluorescent Images of  Hydrocarbon and Polysaccharide Repartition on Bb Algae Colonies

image: a) This is a colony full of cells (red) with polysaccharides (yellow) and hydrocarbons (green) leaving the colony (x20); b) parts of colony tightly packed together (x60); c) colony full of cells (red) with dichotomial ramification of polysaccharides (yellow) and hydrocarbons leaving the colony (green) (x100); d) Single cell (x100 and numerically magnified). (Adapted from Guionet, A., Hosseini, B., Teissie, J., Akiyama, H., & Hosseini, H. (2017). A new mechanism for efficient hydrocarbon electro-extraction from Botryococcus braunii. Biotechnology for Biofuels, 10(1), 39. DOI: 10.1186/s13068-017-0724-1) view more 

Credit: Professor Hamid Hosseini

微細藻類から抽出されたバイオディーゼルは、液体化石燃料の代替燃料としてバイオエネルギー分野において重要なものです。バイオディーゼルから放出されるCO2の量は石油を燃やした時に出る量と同量ですが、もともとバイオディーゼルの原料となる生物が光合成によって大気から除去されたCO2の量と相殺されると考えられ、温室効果ガスの増加には寄与しません。さらに、微細藻類は利用可能な油を採るバイオマスを生産するのに、地上作物よりもかなり小さい土地面積で高効率に生産することが可能であることが研究によって示されています。現在、ディーゼルをバイオディーゼルに置き換える際には、生産コストが最大の障害となっています。化石燃料はまだバイオ燃料よりも安価であるため、生産効率の改善が求められています。

近年、日本の研究者らによって、バイオディーゼル生産のコストを削減するため、微細藻類から炭化水素を抽出するのにパルス電場(PEF)を用いる方法が研究されています。REFは通常、ミリ秒もしくはマイクロ秒用いることで細胞壁を弱め、透過性を高めて細胞内の要素を抽出します。一方、熊本大学の研究者らは、微小藻類の細胞ではなくマトリックスをターゲットに、マイクロ秒よりさらに短いナノ秒のPEF(nsPEF)を用いました。ナノ秒PEFは、一般に、高電圧でもミリ秒やマイクロ秒PEFよりも少ないエネルギー量で済み、伝統的なオイル抽出方である乾燥法ほど破壊的でなく費用もかかりません。

研究者らは、微細藻類である「ボツリオコッカス・ブラウニー」にナノ秒PEFを用いて、炭化水素抽出のための最適な電界、エネルギー、パルス繰り返し周波数を探る実験を行いました。興味深いことに、エネルギーを2倍にしても炭化水素の抽出は10%増加するだけであることが分かりました。10Hzにおいて、最適な磁場およびエネルギー条件は、藻類の体積あたりそれぞれ約50kV/cmおよび55.6J/mlでした。さらに、パルス周波数は抽出率にほとんど影響を及ぼさないことが判明しました。つまり、大規模な産業用システムでは多量の炭化水素を迅速に抽出できるのです。

熊本大学 パルスパワー科学研究所のハミド・ホセイニ教授は以下のように説明しています。「この抽出方法の利点は、炭化水素を細胞から抽出するのではなく、マトリックスから分離することです。他の微小藻類はマトリックスを分泌しないので、炭化水素を抽出するには細胞膜を傷つけるか破壊しなければならず、エネルギーを多く使うため、我々の方法より効率が低くなってしまうのです。また、現在実施されている抽出方法の多くは、油分を抽出するため乾燥工程を用いますが、結果として藻類は破壊されてしまいます。 我々の方法は比較的非破壊的であり、微細藻類は抽出終了後にコロニーを再構築することが可能です。」

課題としては、マトリックスの不純物のことがあります。抽出された炭化水素溶液から多糖類を精製する必要があります。幸い、多糖類はバイオエタノールの生成に使用可能ですが、濃度としては低いのです。

本開発技術によって、グリーンエネルギー源としてのバイオ燃料生産が改善されることが期待されます。

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本研究成果はBioMed Central社の雑誌「Biotechnology for Biofuels」に掲載されました。

[Citation]

Guionet, A., Hosseini, B., Teissié, J., Akiyama, H., & Hosseini, H. (2017). A new mechanism for efficient hydrocarbon electro-extraction from Botryococcus braunii. Biotechnology for Biofuels, 10(1), 39. DOI: 10.1186/s13068-017-0724-1


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