確立された2つのイメージング法を組み合わせた新しい技術基盤により、前立腺癌男性の前立腺の構造および分子組成を詳しく見ることができる。この技術は、現在の「ゴールドスタンダード」法に比べて感度が高く包括的であり、臨床医がこの技術によって前立腺癌を高い精度と信頼性でリアルタイムに診断しモニタリングできるようになると考えられる。前立腺癌は世界の120万人以上が罹患している、男性にもっともよくみられる悪性疾患の1つである。ほとんどの症例は生検および経直腸超音波(TRUS)と呼ばれる方法により診断される。TRUSは音波を利用して前立腺癌および周辺組織を画像化する。しかし、TRUSでは前立腺の分子プロファイルを精査できず、重要な分子マーカーを見逃すことがあり、偽陰性や偽陽性の結果が生じることが多い。この欠点を克服するため、Sri-Rajasekhar Kothapalliらは、TRUSと光音響イメージングと名付けられたハイブリッド光超音波法を組み合わせたデバイスである、TRUSPAを作製した。TRUSPAは、これらの方法を組み合わせることで、リアルタイムで血管などの前立腺の解剖学的特徴ならびに腫瘍内の詳細な分子情報を検出できる。この技術基盤は、前立腺癌のマウスモデルおよび分離したヒト前立腺癌(FDAに承認された色素コントラスト増強剤を投与)で目的通りに機能した。男性被験者20例を対象とした実験では、TRUSPAにより前立腺癌の解剖学的構造の明確な画像(組織の深さ6センチまでよく見ることができた)が得られ、進行疾患患者1例の前立腺癌の悪性領域を区別できた。Kothapalliらは、TRUSPAをどのようにして開発すれば前立腺癌の特異的バイオマーカーを検出できるようになるか検討する予定であり、これによって、精度と臨床での可能性がさらに高まると考えられる。
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Journal
Science Translational Medicine