インフルエンザ特異的骨髄形質細胞(インフルエンザ予防接種後の防御抗体濃度の維持を担う細胞)は短命であり、1年以内にワクチン接種前濃度まで減少することが報告された。この知見は毎年のインフルエンザ予防接種でよくみられる抗体応答の持続性の低迷を説明するうえで役立つが、この新しい研究は次世代のワクチンの寿命をどのようにすれば増強できるかに関する見識を提供している。理想的には、良好なワクチンは、体の適応免疫を刺激して病原体特異的な抗体を産生させ、それによって個々の人に将来の感染に対する長期持続する防御を提供する。多くのワクチンでは、新しい抗体濃度はワクチン接種後数ヵ月でピークに達し、数十年間維持され得る「安定状態」まで低下する。しかし、これはよくあるインフルエンザワクチンには当てはまらない。抗体濃度と防御免疫はそれぞれの季節的なワクチン接種後に急速に低下する。8回のインフルエンザシーズンと参加者53名を対象とした新しい臨床試験で、Carl Davisらは、インフルエンザワクチン接種後のインフルエンザ特異的骨髄形質細胞(BMPC)の産生と維持を追跡した。Davisらはワクチン接種前、ワクチン接種1ヵ月後、ワクチン接種1年後の骨髄検体を採取し、長期ワクチン反応と抗体維持を評価した。数名については複数の季節性ワクチン接種サイクルに渡って評価した。結果から、ワクチン接種によってインフルエンザ特異的BMPCの産生が実際に刺激さされ、免疫化後1ヵ月は数が増加していたことが示された。しかし、新たに作られたBMPCの大半は急速に失われ、1年以内にワクチン接種前の濃度に戻ってしまった。しかしながらDavisらは、少数は1年を超えて持続することを示し、インフルエンザワクチンの寿命を改善できることを示唆した。
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