News Release

ラマ由来の抗体はインフルエンザに対する普遍的防御を提供する

Peer-Reviewed Publication

American Association for the Advancement of Science (AAAS)

研究者らが発表した画期的なインフルエンザ予防用の新規抗体は、H1N1などの鳥インフルエンザ株を含む、インフルエンザA型およびB型の幅広いインフルエンザウイルスに対して、長期にわたる普遍的防御を提供することが示されている。この研究結果によると、インフルエンザに対する包括的防御の迅速な発現は、一つのインフルエンザシーズンにわたり、特に高齢者や免疫不全者においてインフルエンザに対する防御を提供でき、またインフルエンザパンデミックが発生した場合に即時に効果的な予防策になり得るものとして有望であることを示している。季節性インフルエンザの流行および鳥インフルエンザパンデミックの脅威から、包括的なインフルエンザ予防策の必要性が認識されるようになった。インフルエンザワクチンは、インフルエンザ流行の管理および予防において現在、世界的に最も広く用いられているが、異なるシーズンおよび集団におけるその有効性は依然として限られている。ある種の集団、例えば高齢者や免疫の低い者では感染のリスクが高く、ワクチン接種の効果が低いことが多い。さらに、インフルエンザウイルスそのものが大きく変化し、その結果として各シーズン毎に流行している特定のウイルス株にワクチンを合わせなければならない。広域中和抗体(bnAb)を利用した新たな代替治療法が広範な成功を収めているが、やはりA型およびB型のインフルエンザ株をカバーできないことと、防御能を維持するには高用量の反復接種が必要であることから、これも有効性は依然として不十分である。今回Nick Laursenらは、長期のインフルエンザウイルス防御を達成するため、インフルエンザワクチンで免疫を付与されたラマから分離した広域中和シングルドメイン抗体(sdAb)に基づく新たな戦略を発表した。Laursenらは、強力なマルチドメイン抗体(MDAb)であるMD3606を開発し、これはA型およびB型の両方のインフルエンザに対してほぼ普遍的な防御が可能であることが示された。この結果は、複数の抗原エピトープを標的とするMDabが、ウイルスに対してより高い防御能と活性を有することを示している。Mdabは、アデノウイルスベクターを用いてマウスに鼻腔内接種したところ、接種後速やかにインフルエンザに対する防御をもたらした。さらに、高齢マウスおよび免疫不全マウスでも、致死量のインフルエンザウイルスH1N1を播種しても防御されることが示された。

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