News Release

ガラスはなぜ固いのか

Peer-Reviewed Publication

Institute of Industrial Science, The University of Tokyo

A Clearer View of What Makes Glass Rigid

image: A team of scientists led by the University of Tokyo uses computer simulations to study the rigidity of amorphous solids like glass view more 

Credit: Institute of Industrial Science, the University of Tokyo

東京大学 生産技術研究所の田中 肇 教授(研究当時、現:名誉教授/シニア協力員)、トン フア 特任研究員(研究当時、現:上海交通大学 准教授)、セングプタ シーラ 博士研究員(研究当時、現:インド工科大学ルーキー校 助教授)の研究グループは、ガラスに代表されるアモルファス物質の弾性がどのような物理的起源であらわれるのかについて研究を行った。アモルファス固体は、結晶とは異なるさまざまな特異な性質を持っている。結晶の弾性はその周期構造に起因していることは広く知られているが、ガラスのような乱れた構造をもつ物質に固さがあらわれる物理的な機構は未解明のままであった。

本研究グループは、液体の冷却過程でガラス転移点において、応力が遠くまで伝わるようになることを発見した。絶対零度の粉体においては、安定な力のネットワークの形成に起因して固さが出現し、それが長距離にわたる応力の伝達をもたらすことは知られていた。しかし絶対零度以上の有限な温度にあるアモルファス物質においては、調和(線形ばね)近似が大きく破れていることが示された。このことは、結晶の場合のように、絶対零度での基準状態(周期構造)に調和近似を適用することで物性を理解することはできないことを意味している。このような状況下においても長距離の応力伝達を可能にしているのは、全系にわたる力を支えるネットワークの形成であることを明らかにした。このことは、アモルファス物質の固体化は、無秩序な力学的構造の自己組織化の帰結であることを示している。これらの知見は、アモルファス固体とガラス転移現象を力学的観点から理解することの重要性を示唆している。

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本成果は2020年9月25日(英国夏時間)に「Nature Communications」のオンライン速報版で公開される。


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