News Release

最新の「環境に優しい」水素製造方法が「化学工業における次なる必然的一歩」となる

Peer-Reviewed Publication

American Association for the Advancement of Science (AAAS)

研究者らの報告によると、化石燃料を使った従来のメタン水蒸気改質(SMR)方法を電化することによって、「より環境に優しい」工業的水素製造が可能になるという。世界中で導入した場合、より効率的なこの反応装置(従来の反応装置は6階建ての建物ほどの大きさがあるが、これはその約100分の1)は、地球全体の二酸化炭素(CO2)を1%近く削減できると考えられる。「われわれは電化した改質装置のことを、化学工業における次なる必然的一歩だと考えています」と共著者のPeter Mortensenは関連動画で話す。「というのも、この方法なら工業をより環境に優しい方法に変えることができて、しかも同時に実用性もあり、つまり……製造価格を引き上げる必要もないからです」。メタン水蒸気改質(SMR)は水素製造に用いられる最も一般的な方法であり、農業用肥料に用いられるアンモニアと同じように、水素は工業化学物質の合成における重要な成分である。非常に高温で蒸気を用いて、SMR改質装置はメタンを二酸化炭素と水素に変える。しかし、広く利用されているこの方法はCO2フットプリントが大きい。これは温室効果ガスが反応の副産物として発生するからだけでなく、反応促進に必要な熱を供給するために化石燃料燃焼炉が使用されているからである。世界に供給される水素の50%近くをSMRが生成している一方で、世界のCO2排出量の3%近くがこの方法に起因していると推定されており、また何十年にもわたってこの方法の効率向上が研究されてきたにもかかわらず、排出量の少ない代替方法は工業規模ではまだ導入されていないと、著者らは述べている。今回、Wismannらが提示した電気駆動型のメタン改質では、交流電流と直接電気抵抗を使って反応装置を加熱している。従来のSMRとは異なり、電化式のこの方法は反応装置全体に均一に熱を供給するので、メタン転化を最大にすると同時に不要な炭素副産物の形成を抑えることができる。そのうえ、一体型加熱によって非常にコンパクトな反応装置の設計が可能になり、従来のSMR装置の100分の1の大きさになる可能性がある。PerspectiveではGeemらが、特に再生可能資源からの発電コストが下がり続けているいま、その他の工業化学的方法も電化することによって、持続可能な道を切り開けるのではないかと述べている。

###


Disclaimer: AAAS and EurekAlert! are not responsible for the accuracy of news releases posted to EurekAlert! by contributing institutions or for the use of any information through the EurekAlert system.