News Release

2年間の研究でハンチントン病患者における疾患マーカーの動態の詳細が明らかに

Peer-Reviewed Publication

American Association for the Advancement of Science (AAAS)

新たな2年間の縦断研究により、治癒不能の神経変性疾患であるハンチントン病に2つの蛋白質がどのように関係しているのか、また患者と、この疾患を引き起こす遺伝子変異を保有しているがいまだ症状を発現していない人において経時的にどのように変化するのかが明らかにされている。これらの疾患マーカーの動態を詳細に解明したことで、今回の結果は臨床家にとって、ハンチントン病の疾患経過を予測するためのツールや、臨床試験で新たな治療薬を評価するためのツールを開発する助けとなり得る。ハンチントン病の進行を遅らせることのできる治療は現在存在しないが、著者らは変異ハンチンチン(mHTT)という蛋白質を標的とすることで、原因遺伝子を保有しているがいまだ症状を発現していない人々において発症を予防する可能性があることを、理論的に示している。この戦略を検証するには、mHTT、またはニューロフィラメント軽鎖(NfL)と呼ばれるもう1つの疾患関連蛋白質の濃度を測定することが必要となるが、これらの蛋白質の濃度が疾患の進行につれてどのように変化するのかは、これまで明らかではなかった。このことを調べるためにFilipe Rodriguesらは、対照者20例、変異保有者20例、およびハンチントン病患者40例から血漿および脳脊髄液のサンプルを収集した。著者らは、2年間にわたり縦断的にmHTTおよびNfLの濃度を測定し、変異保有者では対照者と比べて、NfLの濃度がはるかに急速に上昇し、それには様々なパターンがあることが分った。さらに、研究開始時のベースラインでmHTTおよびNfLの濃度が最も高かった患者では、より進行が速く、2年後により重度の脳萎縮がみられることが示された。「これらの知見は…疾患修飾薬の臨床試験をデザイン・実施するうえですぐに価値を発揮することになろう。特に、質の高い代理エンドポイントが基本的に重要となる予防試験の時代に入りつつある現在において」と、著者らは結論付けた。

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