image: <i>Mycobacterium abscessus</i> has recently emerged as a significant global threat to individuals with cystic fibrosis (CF) and other lung diseases. It was previously thought that patients acquired the infection from water or soil in the environment and that transmission between patients never occurred. Now, by sequencing the whole genomes of over 1,000 isolates of <i>M. abscessus</i> from individuals attending CF specialist centres in Europe, the US and Australia, researchers have demonstrated that the majority of CF patients have acquired transmissible <i>M. abscessus</i> clones, including through airborne transmission at hospitals. This material relates to a paper that appeared in the 11 November 2016, issue of <i>Science</i>, published by AAAS. The paper, by J.M. Bryant at Wellcome Trust Sanger Institute in Hinxton, UK, and colleagues was titled, "Emergence and spread of a human-transmissible multidrug-resistant nontuberculous mycobacterium." view more
Credit: Andres Floto (University of Cambridge), Josie Bryant (University of Cambridge), Julian Parkhill (WT Sanger Institute)
新しい研究によって、肺に損傷を与えるある細菌が、かつては環境から感染すると考えられていたが、実際には（少なくとも嚢胞性線維症の診療所内では）人からの伝染で広まることが明らかになった。この研究では、ヨーロッパ、米国、オーストラリアにある複数の嚢胞性線維症センターの臨床データを利用し、ここ数十年間に出現し優位を占めるようになったこの細菌には、3つのタイプがあることを指摘した。多剤耐性マイコバクテリアの一種であるMycobacterium abscessusは、嚢胞性線維症（CF）などの肺疾患をもつ人にとって世界的に深刻な脅威として浮上している。これまで患者は水や土壌からM. abscessusに感染すると考えられており、患者間で伝染したことはなかった。しかし、CF集団および非CF集団におけるM. abscessus感染の発生率が増加していることを踏まえ、Josephine Bryantらは、独立した環境からの感染ではなく交差感染がおもな感染源なのかどうかについて、理解を深めたいと考えた。そこで、世界各地のCFセンターを受診した500人以上から得た、1000以上のタイプのM. abscessusについて全ゲノムの配列を決定したところ、地理的に離れていてもM. abscessusの分離株はほぼ同一であることが明らかになった。このことは、この細菌のクローンが世界各地のCF患者間で広範にわたって伝染していたことを示唆している。さらなる分析の結果、感染は病院内での汚染表面への接触や空気感染によって広まりうることが示唆された。優位を占めるこのクローンがどのように複数の大陸にまたがって広まったのかは、依然として不明だという。違う国のCFセンター間で患者や機材の移動があったという証拠は見つからなかった。この研究によって、集団レベルでゲノミクス解析を行えば、新興病原体の伝染方法を明らかにできることが実証された。
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