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微生物叢の構成の違いにより一般的な腸疾患が識別される

Peer-Reviewed Publication

American Association for the Advancement of Science (AAAS)

1,700人もの人を研究した結果、炎症性腸疾患(IBD)患者と過敏性腸症候群(IBS)患者の間では、腸内細菌叢の構成および機能に違いがあることが明らかにされた。この結果は、IBD患者とIBS患者を鑑別する上で、また新たな治療標的を同定する上で役立つ可能性がある。IBDとIBSの2つは、消化器疾患の中でも最も多くみられるもので、世界人口のそれぞれ約0.5%および21%が罹患している。いずれの疾患も患者のQOLを損ない、欧米では合わせて年間100億ドルもの経済的負担の原因となっている。これまでに腸内細菌叢の変化が両疾患と関連することは分かっていたが、IBD患者とIBS患者における腸内細菌集団について十分その特徴を明らかにした研究はなかった。このギャップを埋めるため、Arnau Vich Vilaらは今回、IBD患者355例とIBS患者412例、および対照者1,025例の便検体を対象にシークエンシングを行った。著者らはIBDとIBSに関連する細菌群を同定し、両疾患の患者において有益な細菌種の多様性が低下し、病原性を有する細菌種の多様性が高くなっていることを明らかにした。さらに、IBD患者では9種の細菌の、IBS患者では1種の細菌の増殖率に変化がみられ、両患者において抗菌薬耐性に関連する蛋白質が大量に存在することが示された。次いで著者らは、得られたデータを機械学習技術と組み合わせて、IBDとIBSを鑑別できるモデルを作製した。ただし著者らは、このモデルの精度を検証し、作用している細菌が関与する経路の特徴をより明らかにするために、さらなる研究が必要であると述べている。

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