News Release

光捕捉性ナノ粒子からエネルギーを得る酵母を用いて価値の高い化学物質を作り出す

Peer-Reviewed Publication

American Association for the Advancement of Science (AAAS)

新たな報告によれば、遺伝的プログラミングを施された新しい酵母株は、光捕捉性(light-harvesting)ナノ粒子からエネルギーを得て、価値の高い化合物を、単純かつ再生可能な炭素源からバイオ生産できるという。この半導体と微生物のハイブリッドは、生物無機系における基本的な限界を克服し、効率性と適応性が高く、より高い柔軟性と機能性を有するバイオ生産プロセスを可能にするバイオハイブリッド微生物を将来的にデザインするための新たな基礎を築くものである。細菌や真菌などの微生物は、主としてその増殖が速いことと、遺伝子操作によりその代謝プロセス変えることで炭素源を様々な他の化学物質に変換できることに基づいて、産業におけるバイオ生産に広く用いられている。バイオハイブリッド系は、無機系の光捕捉能を生きた細胞の生合成能と組み合わせることで、高い価値のある化学物質を生産する上で有望な方法となる。による従来の微生物ハイブリッド系は限界があり、またより柔軟性のある従属栄養細菌と比べて、一般に限られた範囲の化学物質しか産生できない独立栄養細菌を主として利用している。太陽光のような無機源からエネルギーを得る独立栄養細菌とは異なり、従属栄養細菌は代謝プロセスを駆動する細胞内の補酵素であるNADPHを再生産するための有機源として、例えば砂糖などの炭素ベースの「燃料」を必要とする。このことは効率的な細胞工場を開発する上で、長年の課題であった。Junling Guoらは今回、パン屋が使う出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae)を利用したモジュール性の高い生物無機系のハイブリッドプラットフォームを報告した。S. cerevisiaeはパンの発酵やビールの醸造だけでなく、バイオ生産に広く用いられている酵母株である。この研究でGuoらは、遺伝子改変を行った新しい酵母株を開発し、無機ナノ粒子半導体でコーティングした。この生物無機系酵母株は光感受性ナノ粒子が吸収した光から得たエネルギーを、生きた細胞に輸送し、生合成反応に必要なNADPHの再生産を行うために用いる。

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