News Release

新しい米国の法令により世界全体の海洋保護を取り巻く環境が改善の見通し

Peer-Reviewed Publication

American Association for the Advancement of Science (AAAS)

魚介類の捕獲にあたって米国海洋哺乳類保護法(MMAP)に則ることを義務付ける、海産物の輸入に関する米国の新しい規制により大幅な海洋保全が地球規模でもたらされる可能性が高い。Rob WilliamsらはこのPolicy Forumにおいて、この取り組みに伴う影響と課題を取り上げている。米国は120ヵ国以上の国々から海産物を輸入する世界最大の海産物輸入国である。今回の法令がもたらす最良のケースでは、関連する国々は法令を遵守し、海洋生物の保護が進むこととなる。一方で最悪のケースでは、米国へ輸出できなくなることにより経済的打撃を受ける、ないし同法令を無視する国々が出現する。2017年1月1日に施行される今回の法令は、漁業活動によって海洋哺乳類に意図的に危害を与えることを禁止しており、また混獲は海洋哺乳類の個体数に影響を及ばさない範囲内とすることを義務付けている。しかし、著者らはこの法令を遵守しないことを選択する国が出現する可能性があり、また監視や施行能力が欠如している多くの開発途上国は法令を遵守出来ない可能性があると指摘している。こういったリスクを低減するため、Williamsらは経済的に脆弱な多くの国々の能力構築努力を支援するように、国際社会に対して呼び掛けている。中南米の小国や多くの小島嶼開発途上国(SIDS)はこれらの規制を守るために苦労する可能性が非常に高いと、著者らは言及している。規制を守る努力は国内から発信されるべきだが、国外からの支援や資金提供は成功の機会を増加させるだろう。特定海洋生物の個体数の監視は大きな課題である。例えば、希少なクジラ目の動物の存在あるいは一般的な種の傾向を検知するために必要な調査は、現時点で海洋全体の約5%でしか行われていない。地域的な連携は、費用、船舶、訓練を積んだ観測者、分析のノウハウ、及びデータを国々の間で共有するために有益である、と著者らは言及している。国際社会は資金援助と科学的能力の構築を通してこれらの努力の一つ一つを支援することができる、と著者らは結論付けている。

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