News Release

哺乳類の腸内細菌叢の系統をたどる

Peer-Reviewed Publication

American Association for the Advancement of Science (AAAS)

新たな研究によれば、マウスの腸内で特有にみられる常在細菌の構成は親から遺伝したものであり、世代を重ねてもほとんど変わらないという。この結果は、哺乳類の腸内細菌叢が受け継がれるのは主として垂直遺伝によることを示唆するとともに、ヒトにおける細菌性病原体の一部は、屋内環境下での水平伝播に適した細菌属に属することを示唆している。哺乳類の腸内常在細菌にみられる大きな多様性は、その宿主の消化器系、免疫系および神経内分泌系に影響を及ぼす。しかし、こうした腸内細菌叢を形成するある特定の細菌集団が、宿主間でどのようにして伝播されるのかはあまり明らかにされていない。個々の細菌種の複雑な系統関係を解きほぐし、複数の世代にわたる様々な伝播様式を識別することは、長らく難しい問題であった。この課題に取り組むためAndrew Moellerらは、哺乳類の腸内における細菌叢伝播についての評価を、複数世代にわたって長期に実施した。Moellerらは、アリゾナ州とカナダのアルバータ州で、異なる細菌叢を有する2つの野生マウス集団を捕獲し、それらのマウスとその子孫の腸内細菌叢を3年間にわたり観察した。その結果、個体および集団レベルの細菌叢の構成は各マウス系統内において維持されていること、また10世代を経ても構成の違いは変わらないことが分かり、このことから細菌叢の伝播は主として垂直遺伝によることが示唆された。ただし、一部の細菌は水平伝播によること、それも実験室環境を介したものであるらしいことが示された。著者らによれば、共通の環境における水平伝播が示された細菌種は、垂直伝播される細菌種よりも病原性が強い傾向があり、ヒトにおける細菌性病原体は屋内環境下での伝播に適した細菌属に属するもので、おそらくこれは酸素耐性の強化に助けられてようであると示唆している。

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