News Release

Googleの大洋横断通信ケーブルを利用した海底地震センサーで波と地震を検出

Peer-Reviewed Publication

American Association for the Advancement of Science (AAAS)

カリフォルニア州ロサンゼルスとチリのバルパライソを結ぶ、Googleの全長1万キロメートルの海底光ファイバーケーブル「キュリー(Curie)」を用いて、深海の地震活動と海面の波を検出する新しい方法が実証された。このケーブルは、大洋横断通信ケーブルのネットワークを絶え間なく流れるトラフィックを監視するものであるが、9ヵ月の観測期間中に暴風による大波や地震の検出に成功した。関連するPerspectiveでWilliam Wilcockは、「この方法は新たなインフラや計装を必要とせず、ケーブル終端で受信した通信データの抽出用に作成された、既存の観測機器を利用している」と述べている。新しい研究は、この方法を用いれば、全海域に敷設された光ファイバー網を、地震や津波を常時リアルタイムで監視および検出するシステムに変えうることを示唆している。海底の地震活動を監視することは、地殻の研究や、沖合地震や津波の検出にとって極めて重要である。しかし、海底に地球物理機器を設置し維持するのは難しいうえに費用がかかるため、結果として、広大な海域においても海底地震観測所は比較的数が少ない。いくつかの新しい技術を使って、このデータ不足への対処方法が探られている。例えば、レーザー干渉法や分散型音響センシングは、既存の大洋横断光ファイバー通信ケーブルを、全長1万キロメートルの地震センサーに効率的に変えることができる。しかし、こうした解決法は、特殊なレーザー検出装置や専用の「ダークファイバー(敷設されたが使用されていない光ファイバー)」が必要なため、これまであまり行われてこなかった。Zhongwen Zhanらによると、もし1万キロメートルの海底光ファイバーネットワークのごく一部でも地球物理センサーとして使用できれば、地震データの量が大幅に増加し、海底の大部分をカバーできるだろうという。Zhanらが提示した新しい方法では、通常は光通信ケーブルで情報を伝送する際に使用される偏光信号と、Googleが所有する海底光ファイバーケーブル「キュリー」を使用した。キュリーは、太平洋のなかでも地震活動が活発な、北米と南米の東側に敷設されている。偏光は温度変化に敏感だが、海底は温度が安定しているおかげで、著者らは光通信トラフィックを定期的に監視することや、観測された変化が地震(圧力)によるケーブルの歪みに起因するとみなすことが可能になった。Zahnらは、9か月の連続観測において、約30の暴風による大波と約20の中規模から大規模の地震を記録した。そのなかには、2020年6月にメキシコのオアハカで発生したマグニチュード7.4の地震も含まれていた。

###


Disclaimer: AAAS and EurekAlert! are not responsible for the accuracy of news releases posted to EurekAlert! by contributing institutions or for the use of any information through the EurekAlert system.