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アンモニウム塩によって明らかにされた「謎」の彗星内窒素貯蔵庫

Peer-Reviewed Publication

American Association for the Advancement of Science (AAAS)

かなりの量のアンモニウム塩がチュリュモフ・ゲラシメンコ彗星(67P)表面物質で発見されたことで以前は「謎」とされた彗星内窒素貯蔵庫が明らかになった可能性がある。太陽は原始太陽系星雲から誕生しており、太陽の化学・同位体組成には原始太陽系星雲の組成が反映されているとされている。彗星は、形成されつつある太陽の中心から遠く離れた原始太陽系星雲の冷たい外縁部で遠い昔に凝結したと考えられているが、太陽と同じ原始物質を含んでいると推測される。太陽の原始物質と同一のはずであるが、チュリュモフ・ゲラシメンコ彗星(67P)を含む彗星で測定された窒素炭素(N/C)比は太陽のものより小さい。この窒素不足の原因は不明である。探査機ロゼッタによるチュリュモフ・ゲラシメンコ彗星(67P)表面分光測定からは、遍く存在するが、現在のところ説明できていない波長3.2マイクロメートル(μm)近辺を中心とした赤外線吸収特性が示されている。窒素含有分子を含め、幾つかの物質が未解明のスペクトル特徴の原因物質として示唆されているが、もっともらしい化合物について参照データが欠如しているため、特定することができていない。Oliver Pochらは室内実験により、可能性のある種々の彗星表面組成を模擬して、得られた反射スペクトルを測定し、チュリュモフ・ゲラシメンコ彗星(67P)表面で観測された波長3.2μm近辺の赤外線吸収特性の再現を試みた。候補となる化合物として今回の著者たちが試験したものの中で、何種類かの窒素含有アンモニウム塩によって、チュリュモフ・ゲラシメンコ彗星(67P)における未解明の赤外線吸収帯を再現することができた。Pochらは、これらの新発見に基づき、これらの化合物中のアンモニウムイオン(NH4+)が波長3.2μm近辺の赤外線吸収特性の原因物質の可能性があると結論付けている。今回の論文の著者らは、実体のある窒素貯蔵庫として半揮発性アンモニウム塩を明らかにしており、彗星と太陽の間で観測されたN/C比の食い違いを説明するのに十分な多量の 半揮発性アンモニウム塩が存在している可能性がある。

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