News Release

殻眼を持つ軟体動物

Peer-Reviewed Publication

American Association for the Advancement of Science (AAAS)

Some Mollusks Equip Their Armor with Eyes

image: This animated gif relates to the study by Li <i>et al.</i> view more 

Credit: Carla Schaffer/AAAS

新しい研究により、一部の海洋軟体動物の体を覆う甲殻は保護と視覚能力という相反する2つの設計要件を満たすように進化したことが示された。この研究から得られた知識は感覚能力を持つ軽量の装甲といった多機能材料の設計の進歩につながると考えられる。複数の目的を果たす生物組織は多いが、多数の役割を上手く果たせるように最適化した組織はめったにない。つまり、1つの役割を効率良くこなす際には別の役割を同等に効率良くこなすことが犠牲になるのが一般的である。特に自然界における例でこういった代償を理解することは、革新的な材料の開発を手掛ける科学者にとって重要である。今回、Ling Liらは硬い貝殻上に生きた組織を持つ唯一の軟体動物であるヒザラガイについて研究した。具体的に研究対象となったのはAcanthopleura granulataと呼ばれるヒザラガイで、バイオミネラルベースのレンズを備えた眼がそのとがった貝殻全体に分散している。最近の研究により、このヒザラガイには空間視覚能力がある可能性が指摘されている。Liらは殻眼の一つ一つについて光学的実験を行い、これらの顕微レンズが画像を形成できる、つまり「見ること」が可能であることを実証した。ヒザラガイはこのレンズを使って近づいてくる捕食者を可視化し、迅速にそれに対応している(下の基盤に吸着して離されないようにする)。この研究ではまた、個々の殻眼が大きく複雑になるにしたがって貝殻の機械的性能は低下することも判明し、この2つの役割が両立し得ないことが強調された。

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