News Release

“フィーヨフィーヨ”特徴的な鳴き声とドローン画像からシカの時空間分布を推定

環境を荒らさずに野生動物を調査

Peer-Reviewed Publication

Institute of Industrial Science, The University of Tokyo

Listening to the Call of the Wild: Tracking Deer Movements Using Sound

image: Researchers from The University of Tokyo have designed a new type of system using listening devices to detect and track deer positions in the wild view more 

Credit: Institute of Industrial Science, the University of Tokyo

東京大学 生産技術研究所の沖 一雄 特任教授(京都先端科学大学 工学部 教授)、京都先端科学大学 工学部 Salem Ibrahim Salem(サレム イブラヒム サレム) 講師、福島大学 農学群食農学類 牧 雅康 准教授、株式会社 野生動物保護管理事務所 本社調査事業部 奥村 忠誠 部長らは、(1)複数マイクロフォンによるシカ時空間分布解析手法の開発、および(2)ドローン(UAV:Unmanned Aerial Vehicle)による尾瀬ヶ原全域のシカ個体数推定把握のための観測手法の開発に成功しました。

ラムサール条約登録湿地に登録されている尾瀬ヶ原・尾瀬沼では、1990年代半ばからシカが確認されるようになり、自然植生が破壊され、生態系へ不可逆的な影響が生じることが懸念されてきました。被害を低減させるために、シカの捕獲事業や継続的な植生被害のモニタリング、防護手法の検討はなされてきましたが、シカの生息個体数が不明なため、必要な捕獲数を設定することはできていませんでした。

そこでシカの個体数を把握することを目的に、マイクロフォンで周辺の音を拾い、特徴的な鳴き声からシカの場所を評価する手法を開発しました。本手法は、従来の手法に比べ、保全対象地域に人が高頻度で入りこむことなく、少ない労力で、シカの時空間分布を精度高く継続的に推定できるという点で独創的であり、世界初のシステムといえます。さらに、熱赤外センサを搭載した複数のドローンで上空から湿原内全域の観測をすることで、夜間に森林から湿原内に出てくるシカの個体数を推定する観測手法も開発しました。これらの手法により、尾瀬に生息するシカの個体数管理用の基礎データを提供できるばかりでなく、別の対象地域に生息するシカ以外の動物(害獣や希少動物など)の個体数や生息場所を特定できる可能性がある点で応用範囲が広く、生物多様性の分野においても有用性が高いと期待されます。

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