News Release

気候変動によって雨が増え、窒素流出量が増え、問題が増える

Peer-Reviewed Publication

American Association for the Advancement of Science (AAAS)

新しい研究によると、水の循環が激しくなることによって、米国では窒素流出量が(2100年までに20%近く)激増する恐れがあるという。窒素が河川や河口に過剰に溶け込むと、水系に多大な影響を及ぼしかねない。例えば、藻類ブルーム(水の華)に拍車がかかり、人間の健康や水界生態系や経済に悪影響を及ぼす可能性がある。気候変動によって将来の降水パターンが変化すれば、将来の窒素流出量は大きな影響を受けるが、これまでの分析はそのほとんどが地域に限定したものであり、ごく少数の気候モデルだけに頼っていた。より包括的な推定を行うため、Eva Sinhaらは予想される降水量の変化を21種類の気候モデルに基づいて分析した。その際、各モデルを3つの気候シナリオ(気候変動緩和に向けて積極的に努力するシナリオから、「対策を講じない」シナリオまで)、および2つの期間(2031~2060年の近い将来と2071~2100年の遠い将来)で実行した。米国本土全域でモデルの推定結果は一貫しており、窒素負荷が3つのシナリオすべてで両期間において増加するという。「対策を講じない」遠い将来のシナリオでは、米国本土内における窒素負荷の平均予測増加率は19%で、北東部やミシシッピ・アチャファラヤ川盆地北部、五大湖盆地で増加が最大になると、著者らは報告している。これらの数値を視野に入れて、米国環境保護庁は現在、ミシシッピ・アチャファラヤ川盆地への窒素流入量を1980~1996年の値と比べて20%減らし、メキシコ湾に流れ込む窒素の悪影響を緩和するよう提言している。しかし、推定通りに降水量が変化した場合、こうした目標を達成するには、窒素流入量を62%削減することが必要になる。関連するPerspectiveでは、Sybil P. SeitzingerとLeigh Phillipsが、これらの研究結果に加えて窒素使用量の削減方法についても論じている。

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