image: An infographic depicting DiscoveEHR family trees. This material relates to a paper that appeared in theDec. 23, 2016, issue of <i>Science</i>, published by AAAS. The paper, by F.E. Dewey at Regeneron Genetics Center in Tarrytown, NY, and colleagues was titled, "Distribution and clinical impact of functional variants in 50,726 whole-exome sequences from the DiscovEHR study." view more
Credit: Brian Foelsch, Geisinger Health System
2つの新たな研究から、電子カルテ(HER)のデータと組み合わせた、エクソームの広範な解析の結果が示され、これにより人において医学的に重要な多くの遺伝子変異の同定に至った。この結果は、米国で5万人以上の参加者がゲノム解析のために血液とDNAのサンプルを提供し、自らのHERデータと結合することに同意した包括的プロジェクトであるDiscovEHRの一環として得られたものである。1つ目の研究では、Frederick Deweyらがデータを解析して、個々の参加者が中央値で21の、予測される機能喪失(pLOF)を有することが予測される稀な遺伝子変異を保有していることを見出したが、頻度の高い数百のpLOFも同定した。興味深いことに、研究者らは、機能喪失変異を起こしやすい遺伝子は、常染色体劣性疾患、薬物標的、嗅覚受容体に関連する遺伝子と比較して、主要な遺伝子、がん関連遺伝子、および常染色体優性ヒト疾患に関連する遺伝子であることを見出した。これらのデータから、部分的または完全に障害された数百の遺伝子も明らかにされ、今後の研究においてそれらの機能に関する貴重な知見をもたらし得る。約3.5%の人は、76の臨床的に意味のある遺伝子に有害な変異を保有していることが明らかにされた。
もう1つの研究でNoura S. Abul-Husnらは、家族性高コレステロール血症(FH)の発症に関連する遺伝子変異に関する理解を深める目的でDiscovEHRのデータを解析した。FHの特徴は、生涯にわたる低比重リポ蛋白コレステロール(LDL-C)の大幅な上昇と、早期の心血管疾患リスクの大幅な増大である。FHに関連する既知の3つの遺伝子LDLR、PCSK9およびAPOBにおいて、著者らはFHの発症をもたらし得る19の変異を同定した。著者らによれば、LDLR変異を有する人々ではコレステロール値の有意な上昇が、冠動脈疾患発症リスクの増大と並んで認められた。EHRの記録とマッチさせた調査では、FH変異保有者の58%が、心血管疾患リスクを下げるのに有用なスタチン療法を調査時点で処方されており、それでも治療を受けていた者でコレステロール値がFH患者に推奨されている目標値を下回っていたのは46%のみであることが分かった。これらの結果はこれまでの報告と一致しており、FHに対して十分な治療が行われていないことを示していると、著者らは結論している。Perspectiveでは、Daniel RaderとScott Damrauerがこれら2つの研究について取り上げている。
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