News Release

大型動物相が絶滅した原因は何か?

Related to ancient DNA news package

Peer-Reviewed Publication

American Association for the Advancement of Science (AAAS)

Natural Trap Cave, Wyoming

image: Abseiling into Natural Trap Cave, Wyoming, is shown. Alan Cooper descending the 100ft pitch into NTC to excavate Ice Age megafaunal bones. view more 

Credit: [Credit: Laura Weyrich]

このニュースリリースには、英語で提供されています。

新しい研究によって、急速な気候温暖化が後期更新世における大型動物相の絶滅に及ぼした影響は、人的活動が及ぼした影響よりも大きかったことが示された。この研究は、最終氷期に大型動物種(体重が100ポンド(約45キログラム)以上の動物)が絶滅したのは何が原因だったのかという論争に、情報を提供するものである――この問題は盛んに議論されており、人間による狩猟や土地改変を指摘する科学者もいれば、気候変動を指摘する科学者もいる。この論争がなかなか進展しなかったのは、古代DNAを研究すれば、移住や絶滅などによって動物個体数が大きく変化した時期が明らかになるのだが、そうせずに化石証拠に依存してきたからだ。今回、人的活動や気候変動が後期更新世における大型動物相の絶滅に及ぼした影響を解析するため、Alan Cooperらは古代DNAと詳細な古気候データを併用した。彼らは大型動物種のDNAを評価し、絶滅に関するDNA記録を5万年以上遡って調べた。そして、大型動物相絶滅の情報と、グリーンラドの氷床コアなどから得られた、後期更新世の厳しい気候の記録とを比較した。彼らの報告によると、更新世の大型動物相絶滅と、いわゆる亜間氷期(定期的に繰り返す暖かい期間)の初期にみられた急速な温暖化との間には、密接な関係があったという。気候変動に起因する大型動物相の独特な集団構成は、人間の影響を受けやすかったのだろう、と彼らは述べている。分析により、結局のところ、大型動物相の絶滅を起こした重要な要素は気候変動であり、人間の影響は付随的なものだったことが裏付けられた。

Cooperらによる報告は、ScienceのNews部門の古代DNAに関する特別パッケージに関連したものである。なかでも注目すべき外部寄稿者Ann Gibbonsによる記事では、現在世界中のDNA研究室で扱われている古代遺伝物質の研究によって、先史人類史に対する長年にわたる見解の再考がどのように促されているかを考察している。例えば古代DNAは、新種の古代人の発見をもたらし、我々の祖先と古い兄弟分との異種交配について明らかにしてきたという。メキシコシティー在住のニュース記者Lizzie Wadeは、低温乾燥状態によって古代DNAが保存されやすい極寒の場所からではなく、世界の生物多様性の多くが進化した高温多湿の場所から、古代DNAを獲得しようとする奮闘を紹介している。熱帯地方の古代DNAは、かつて南米やオーストラリアを支配した大型動物の起源のような、生物学や進化に関する多種多様な論争を解決できる可能性があるという。ニュース記者Robert Serviceは、古代DNAに比べて有利な点がいくつかある古代タンパク質を用いることで、どのように過去の文化の食習慣や生活様式が明らかになり、古代標本に見られる感染症の原因が突き止められているかを考察している。古プロテオミクス関連の分野には期待がもてるが、その基礎をなす技術が古遺伝学に追い付くのはまだ先になりそうだという。この刺激的なニュース・パッケージには、この他に3本の記事が含まれている。

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Article #24: "Abrupt warming events drove Late Pleistocene Holarctic megafaunal turnover," by A. Cooper; B.W. Brook; C.J.A. Bradshaw at University of Adelaide in Adelaide, SA, Australia; C. Turney at University of New South Wales in Sydney, NSW, Australia; K.A. Hughen at Woods Hole Oceanographic Institution in Woods Hole, MA; B.W. Brook at University of Tasmania in Hobart, TAS, Australia; H.G. McDonald at National Parks Service in Fort Collins, CO.


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