News Release

我々は無意識に顔らしさを判断している?

脳波を用いた顔らしさ認知メカニズム解明へのてがかり

Peer-Reviewed Publication

Toyohashi University of Technology (TUT)

Brain's Reaction when a Face-Like Object Is Viewed

image: This is a brain's reaction when a face-like object is viewed. view more 

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豊橋技術科学大学情報・知能工学系視覚認知情報学研究室の研究チームは、顔らしさの判断が物体を見てから約100msという早期の視覚処理で行われることを明らかにしました。本研究では、顔らしさの認知と脳活動の関連に着目し、世界で初めて顔らしさ認知が早期の視覚処理の影響を受けていることを示しました。本研究成果はオープンアクセス誌frontiers in Human Neuroscienceに掲載されました。

 顔らしさ認知とは、ヒトの顔ではない物体に対してヒトの顔のように認知してしまうことです。この現象は、パレイドリア現象と呼ばれ、「無意味な模様、風景、物体などが、別の意味のある何かにみえる」というものです。心霊写真の多くもこの現象とされています。この現象は、比較低次な視覚処理で生じていることは議論されていましたが、実際にどの視覚処理の段階で生じているかは明らかにされていませんでした。

そこで、豊橋技術科学大学情報・知能工学系視覚認知情報学研究室の研究チームは、顔らしい物体を見たときの行動と脳活動の関連を調査し、顔らしさ認知がどの視覚処理段階で生じるかを明らかにしました。

 「ヒトの顔の視覚処理は3段階に分かれており、初めに物体の識別をおおまかに行う初期の視覚処理が行われ、顔であった場合にその顔のパーツ(目や鼻、口)の処理と輪郭とパーツの配置の処理が行われます。その後に、表情や個人の識別が行われます。我々は、この3段階の処理時の活動と実際の認知の結果の関連を調査し、顔らしさの認知が視覚処理の初期段階で既に行われていることを明らかにしました。この処理は物体を見てから約100msという早さで行われ、我々が物体を意識する前より既に顔らしさの処理が行われていることが考えられます。」と筆頭著者である博士後期課程の二瓶裕司は説明します。

 研究チームのリーダーである南哲人准教授は「さまざまな物体に顔らしさを感じるというのは、物体認知としてはミスと言えますが、単なるミスではなくて重要な認知機能の裏返しではないかと考えています。今後も、顔らしさ認知について、多角的なアプローチで迫っていきたいと考えています。」

 この研究の成果は「顔らしさ」という顔の情報と、物体という情報の2つの情報を持つ状態をどのようにヒトが認知し、切り分けるのかというメカニズムの解明の手がかりとなったと考えられます。また、今回の研究成果により「顔らしさ」は早期の視覚処理で行われ、その後ヒトの顔と同様に処理されていることが示されました。このことから、顔が持つ注意を集める効果等が「顔らしさ」によっても生じると考えられます。

本研究は、文部科学省・日本学術振興会科学研究費基盤研究A(26240043)、基盤研究C(25330169)の助成によって実施されたものです。また、筆頭著者の二瓶は文部科学省・日本学術振興会の実施する博士課程教育リーディングプログラム(R03)の支援を受けました。

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