News Release

腸内細菌総の毎日の決まった働きが宿主の代謝機能を調節する

Peer-Reviewed Publication

American Association for the Advancement of Science (AAAS)

マウスにおいて、腸内細菌叢の毎日の決まった働きを阻害することは宿主の代謝調節に重大な影響を及ぼし、代謝機能障害のリスクを高めることが、新たな研究で報告されている。この結果は、概日周期に沿っていない現代の環境の中で、ヒトにおける肥満と腸内細菌叢の障害、あるいは睡眠障害との関連を示している。「我々が得た結果から、現代の生活習慣因子、例えば抗菌薬や長距離の飛行機旅行などにより、腸内細菌叢と体内時計の相互作用が乱され、これによって代謝疾患が悪化する可能性が示唆される」と、この研究の共著者であるLora Hooperは述べた。哺乳類において、腸内細菌叢などを含めた代謝の多くの側面は概日周期と関連しており、これが食物を摂るタイミングやその消化のされ方に影響を及ぼし得る。しかし、腸内細菌叢と概日周期の経路との関係や、昼夜サイクルと代謝関連遺伝子発現を関係づける分子メカニズムについては、あまり良く分かっていない。Zheng Kuangらはマウスモデルを用いて、ヒストンアセチル化の変化に伴う代謝関連遺伝子発現の概日リズム調節における腸内細菌叢の役割について調べた。ヒストンアセチル化は、概日周期の調節における重要なエピジェネティック機構であることが知られている。その結果Kuangらは、マウスの小腸由来の上皮細胞において腸内細菌叢によりヒストン脱アセチル化酵素3(HDAC3)の周期的な発現が誘導されており、これと協調して、栄養素の輸送や脂質代謝に関わる代謝関連遺伝子発現の変動における日内の周期的な変動が生じていることを発見した。腸内細菌叢を欠損させた無菌マウスでも、その代謝における周期的な調節が認められなかった。著者らはまた、予想しないことにHDAC3は脂質吸収および肥満の促進に関与していることも発見した。概日光周期とHDAC3発現リズムが長期的に乱されると、食事に起因する肥満が悪化する。「我々が暮らしている、光害を特徴とする「現代の」環境と、「西洋風の食事」において、概日時計と腸内細菌叢の相互作用は代謝機能障害と肥満の促進へと至る可能性がある」と、関連するPerspectiveでFaraz BishehsariとAli Keshavarzianは記している。

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