image: A top-view scanning electron microscopy image of a magnetic tunnel junction device. view more
Credit: K. Hayakawa et al.
「量子コンピューター」や「確率論的コンピューター」など、「不確定性」や「確率性」を積極的に利用した従来にないコンピューターが注目を集めており、これらを実現するための、電子の持つ電気的性質と磁気的性質(スピン)の同時利用に立脚する「スピントロニクス」注1)技術の活用が有望視されています。
東北大学電気通信研究所の金井駿助教、早川佳祐博士前期課程学生、大野英男教授(現、総長)、深見俊輔教授らは、スピントロニクス技術を用いた擬似量子ビット(確率ビット:Pビット)素子を、1秒間に1億回(従来比100倍)動作(「物忘れ」)させるための重要技術を開発すると共に、これまで着目されてこなかった動的磁化状態の「エントロピー」を考慮することでその物理的起源が説明されることを示しました。本成果は、確率論的コンピューターの研究開発を加速するものです。加えて、「ゆらぎの定理」などの非平衡熱統計物理学の新概念とスピントロニクスを繋ぐ革新的な手法を提供することが期待されます。
本研究成果は2021年3月17日付で米国の科学誌「Physical Review Letters」及び「Physical Review B」で各一報ずつが連携論文として公開され、いずれの科学誌においても「編集者推薦論文」として高い評価を受けました。
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Journal
Physical Review Letters