News Release

機械学習によって古生代の生物多様性を理解するうえでの不確実性が大幅に減少した

Peer-Reviewed Publication

American Association for the Advancement of Science (AAAS)

これまで地球規模の古生物多様性に関する分析は、約1000万年単位で粗く分解されていたため、それよりも短い時間スケールで起こる生態学的な過程や出来事の影響はよくわからなかった。今回、古代の海洋化石と現代の機械学習および世界屈指のスーパーコンピュータを併用して、平均的な化石層の年代を2万6000年の単位で分解し、古生代の生物多様性の記録を新たに作成したという。このコンピュータを使った手法によって、Jun-xuan Fanらはカンブリア紀から三畳紀における生物多様性のカーブを、2万6000±1万4900年という細かい時間分解能で新たに描き出すことに成功した。関連するPerspectiveではPeter Wagnerが「今回の新たなレベルで特性を年代測定することは、いわば同世紀に生きた人すべてを同年輩と見なす方式から、同じ6ヵ月間に生きた人だけを同年輩と見なす方式に変わるのと同じようなものである」と述べている。これを実現するため、Fanらは斬新な特注の機械学習手順を開発するとともに「Tianhe-2」というスーパーコンピュータを使って、中国と欧州の3000を超える層序断面で収集した1万1000種近い古生代の海洋無脊椎動物のデータを合成した。その結果、大幅に分解能が改善された古生物多様性のカーブが得られ、既知の多様化や絶滅が起こった時期が判明すると同時に、古生代の生物多様性の知られざる新たな側面が数多く明らかになった。論文の共著者Norman MacLeodは添付動画で「このプロジェクトのようにスーパーコンピュータを実装することは、今後、こうした生物多様性の分析を行う際に地球科学全般で多かれ少なかれ標準になるだろう」と述べている。今回の研究結果から、大気中二酸化炭素と古生物多様性の変化との相関関係も明らかになった。しかし、長期にわたる高分解能の古環境データが不足しているため、因果関係を理解するにはさらなる研究が必要だという。

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