News Release

麻疹ワクチンのさらなる利益が明らかに

Peer-Reviewed Publication

American Association for the Advancement of Science (AAAS)

このニュースリリースには、英語で提供されています。

新たな研究によれば、麻疹に対するワクチン接種は麻疹ウイルスに対して人々を保護するだけで なく、麻疹によりダメージを受けた感染者の免疫系に乗じて他の感染症が発症することも予防す るという。この所見は、麻疹ワクチンの導入によって、研究者らの予想をはるかに上回る死亡を 防ぐ理由を説明するとともに、幅広いワクチン接種キャンペーンの重要性を示すものでもある。 Michael Mina ら は、イングランド、ウェールズ、米国、デンマークで集団麻疹ワクチン接種が始された前後のデータを分析した。その結果、麻疹は感染者の免疫系の記憶にダメージを与える ことで、侵入する幅広い細菌に対する撃退能力を失わせてしまうことが示唆される。これまでの 研究で、麻疹は感染後数週間から数ヵ月にわたり一種の「免疫記憶喪失( immune amnesia )」を 引き起こすことが示唆されているが、今回の研究では、麻疹によるこの免疫系のダメージは 2 ~ 3 年にわたって持続する場合があることが示された。著者らによれば、この期間中、免疫系 が麻 疹ウイルスを撃退した人は多くの日和見病原体に感染しやすくなるという。今回の集団レベルの 分析により、麻疹の発生率と、麻疹感染後の 2 ~ 3 年間における他の感染症による死亡のあいだ に相関があることが示される。さらに、今回研究対象とされたいずれの高所得国でも、他の感染 症による死亡率を下げるうえで、麻疹ワクチン接種が重要な役割を果たしたことも示唆される。 以上をまとめると、著者らの結果から、麻疹ワクチンにより免疫系の記憶が正常に保たれ、それ によって麻疹以外の感染症に対してある程度の集団防御( herd protecti on ) が得られることが示唆 される

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Article #16: "Long-term measles-induced immunomodulation increases overall childhood infectious disease mortality," by M.J. Mina; C.J.E. Metcalf; B.T. Grenfell at Princeton University in Princeton, NJ; M.J. Mina at Emory University School of Medicine in Atlanta, GA; C.J.E. Metcalf; B.T. Grenfell at Fogarty International Center, National Institutes of Health in Bethesda, MD; R.L. de Swart; A.D.M.E. Osterhaus at Erasmus University Medical Center in Rotterdam, Netherlands.


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