News Release

過去を使って地球の陸上生態系が未来にどう変化するかを予測する

Peer-Reviewed Publication

American Association for the Advancement of Science (AAAS)

過去に発表された600件近い古生態学的記録を分析したところ、最も積極的な気候緩和シナリオを除くすべてのシナリオで、地球の陸上生態系は大きく変化する危険性があることが示唆された。著者らによると、この結果は政策議論に情報を提供するとともに、地球の陸地が将来の気候変動でこうむる影響を評価する際に、現世(完新世)の化石記録も利用するよう促すものだという。陸上生態系はそこに含まれる草や木の組成と構造によっておもに支配されているため、気候に起因する植生の変化は生物多様性や生態系サービスに多大な影響を与えるおそれがある。地球の気温上昇は陸上生態系の変化をおそらくすでに引き起こしているが、この変化の規模を知る手段は限られており、不完全なモデルや直接観察に制約されている。しかし、Connor Nolanらによると、時がたってから過去の変わりゆく状況を振り返ることで、急速に変化する現在の気候に対して世界の生態系が示す感受性を評価するための、重要な方法がさらに得られるという。Nolanらが使用したのは世界中の600か所近くから得た古生態学的記録であり、その記録には2万1000年前の最終氷期最盛期(LGM)の後に世界が温暖化した際の、植生の変化が記録されている。彼らの分析の結果、LGMと完新世初期(現在から1万年前)の間に起こった温暖化(4~7℃の上昇)は、世界中の陸上生態系に変化を引き起こすのに十分だったことが判明した。著者らは、こうした後氷期の温暖化は、大気中排出量を大幅に削減しない場合に来世紀中に起こると予想される温暖化と比べて(少し高いものの)ほぼ匹敵するので、21世紀全体を通して起こることが予想される生態系変化の規模を控え目に推定するのに役立つと述べている。しかし、生態系が変化後にどのような状況になるかは、依然としてよくわかっていない。多くの生態系は組成・構造・機能がまったく新しいものになり、気候変動が続くなかですぐに消滅してしまうことさえあるかもしれない。

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