News Release

血小板のドッペルゲンガーは血栓症と癌転移に立ち向かう

Peer-Reviewed Publication

American Association for the Advancement of Science (AAAS)

Anne-Laure Papaらが、血管内の危険な血塊形成(すなわち血栓症)を防ぎ癌転移と戦う、おとり役の血小板(血塊を形成させる血液細胞)を、前臨床モデルで作製した。このおとり血小板は、標準的な抗血小板薬に比べてその効果をはるかに早く消失させることができ、世界中の死亡と身体障害の2大原因となっている血栓症および癌転移の治療に向けた有望な治療戦略である。血小板は出血から体を守り血管の完全性を維持しており、ヒトの循環系で重要な役割を果たしている。しかし、活動が亢進した血小板は、さまざまな疾患にも寄与する。血栓症患者では血小板数が増加していることが多く、それによって悪性癌細胞の広がりも促進されうる。現在利用可能な抗血小板薬は血小板活性化を阻害できるが、この効果をなくすには少なくとも1週間かかるため、外傷やその他の生命を脅かす状況の患者に対しては危険である。この障害を克服するため、Papaらは血小板の「おとり役」から着想を得て、迅速に効果をなくせる抗血小板療法を開発した。このおとり役は凝集せず、正常な血小板と同様に活性化されたが、他の細胞と相互作用する能力は維持していた。また、ウサギモデルでは、機能のある血小板の有害な付着および凝集を阻害し、血栓症の重症度を軽減した。重要なことに、この効果は、機能のある新鮮な血小板を注射することでただちに消失させることができた。また、このおとり役は幅広い抗癌効果も示し、ヒト脈管構造のチップモデルにおいて血小板媒介性のヒト乳癌細胞の凝集を破壊して広がりを防ぎ、マウスの転移性腫瘍増殖を阻害した。この治療法の迅速な可逆性は、いつの日かこの治療法によって臨床的緊急事態や外科手術で生命を脅かす出血を防ぐことができることを示しているとPapaらは述べている。

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