News Release

作物用の新しい乾燥保護低分子「薬」

Peer-Reviewed Publication

American Association for the Advancement of Science (AAAS)

低分子創薬とデザインのための構造に基づくアプローチを用いて、作物用の乾燥保護「薬」が開発されたことが、新しい研究で示された。この結果は、新しい合成アブシジン酸(ABA)模倣物質であるopabactinが、天然のABAよりも約10倍効率的に作物による水の使用を操作できることを示している。気孔(植物の葉の表面に点在している小さな穴)は、開閉することで植物と大気の間の水蒸気と二酸化炭素(CO2)の交換を制御している。しかし、この機構では植物の成長と水の使用の間にトレードオフが生じ、一方を改善するともう片方が犠牲になることが多い。したがって、高収量と高い水利用効率の両方を備えた作物を作ることは、農業における重要な課題である。農芸化学的な「薬」、特にABA(水利用に対する植物の反応の中心となるホルモン)を模倣する薬は、要望に応じた植物の水利用の制御を可能にすることでこの難問の回避に利用できる可能性がある。そのため、作物の干ばつ耐性を改善する遺伝的・農芸化学的アプローチでは、ABAとその受容体が魅力的な標的となっている。Aditya Vaidyaらは、現在の合成ABA模倣物質は生理活性が低く短命であり、必要な受容体標的への親和性が弱いことで制限を受けている可能性があることを明らかにした。これに対処するため、Vaidyaらは、バーチャルスクリーニングと構造に基づく化合物デザインを用いて、より有効なABAアゴニストを発見しその機能を最適化した。結果から、この分子を使用すると、小麦とトマトで高い効力が認められ、水不足の悪影響に対して長期間持続する防御が生じたことが示された。「この新しい研究は、この化学的アプローチ・ゲノムアプローチが、化学を遺伝学と共に用いるための刺激的な新しいアプローチを提供し、最も重要な作物の水利用効率を良好にする可能性があるという重要なエビデンスを提供している」と、関連するPerspectiveで、George PhillipsとMichael Sussmanが述べている。

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