News Release

最終氷期には地球規模で急激な気候変動現象がいくつも同時発生した

Peer-Reviewed Publication

American Association for the Advancement of Science (AAAS)

新しい研究によると、最終氷期にグリーンランドで急激な気候温暖化現象が発生した時期と、低緯度地域の古気候記録に残る急激な気候変動現象の時期が、非常に近かったという。これにより、地球の両半球をまたいで気候現象がほぼ同時に発生するテレコネクションが明らかになった。世界各地の洞窟にある堆積岩の薄層をもとに、新たに高精度の古気候年代測定を行った結果、気候変動モデルの改良と氷床コア年代決定の制約を行うための枠組みが得られた。これは、今後世界中で発生するであろう急激な気候変動を考えるうえで重要である。グリーンランドの氷床コアから得られた最終氷期(11万5000~1万1700年前)の気候記録によって、温暖期と寒冷期を繰り返す急激な気候振動が明らかになっている。こうした振動は、ダンスガード・オシュガー(DO)イベントとも呼ばれており、急速な温暖化の時期へと急激に移行した後、徐々に、そして急激に寒冷期に戻るという特徴がある。振動は100年から1000年のスケールで準周期的に起こる。最終氷期には北極圏以外でも同様の急激な気候変動現象が発生したことが、地球上の遠く離れた場所で得られた数多くの古気候記録によって確認されている。急激な移行の原因となるプロセスについてはよくわかっていないが、いくつものプロセスが関連していると思われる。しかし、同程度の精度をもつ正確な古気候の年代測定法がないため、グリーンランドのDOイベントが、他の場所で起きた急激な気候変動と同時期に発生したかどうかを判断するのは難しい。Ellen Corrickらは、正確な日付入りで発表された高精度の洞窟生成物記録を63件集めた。これらの記録は、北半球の中緯度地方から南半球の亜熱帯地方に及ぶ地域の、最終氷期の気候を示すものである。こうしたデータセットを用いて、Corrickらが53の大規模および小規模の急激な温暖化現象について発生時期を調べたところ、グリーンランドの氷に記録されていた現象の発生時期は、アジアのモンスーン地域や、南アメリカのモンスーン地域、欧州の地中海地域で急激な気候変動が発生した時期と同じだったことがわかった。この研究成果から、北極圏の急激な温暖化現象が地球規模の急激な気候変動を引き起こしたことが示唆される。

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