News Release

地球規模で見た浜鳥の巣捕食のパターンが気候変動によって反転した

Peer-Reviewed Publication

American Association for the Advancement of Science (AAAS)

新しい報告によると、かつては世界中の浜鳥(海岸にすむ鳥)が繁殖する聖域だった北極圏において、巣捕食(巣内の卵・雛が食べられること)が急増しており、世界中の個体群に対するリスクが高まっているという。この研究結果は、従来の捕食者・被食者パターンの崩壊が地球の気候変動によって引き起こされていることを示唆している。雛が生き延びることは野生個体群を維持するうえで極めて重要であり、巣捕食率があまりに高いと、著しい個体数減少や絶滅の危険性増加を招きかねない。これまで、捕食率は赤道に近い所で繁殖する鳥のほうが、両極に近い所で繁殖する鳥よりも高かった。その結果、多くの鳥が子孫を確実に残すために、何千マイル(何千キロメートル)も移動して熱帯地方を離れ、北極地方の集団繁殖地に行くといった戦略を採用してきた。しかし、先行研究では、気候変動が個々の動物に及ぼす影響は、捕食者・被食者間といった種間の相互作用をはじめ、多岐にわたるだろうとされてきた。著者らによると、こうした種間の影響はまだ十分に解明されておらず、地球規模での評価も行われたことがなかったという。Vojtěch Kubelkaらは気候変動が巣捕食パターンに及ぼす影響を探るため、237の個体群から3万8000個以上の浜鳥の巣について地球規模のデータベースを構築し、全体の巣捕食率が過去70年にわたり増加していることを見出した。さらにKubelkaらは、近年、北極圏における浜鳥の巣捕食率が熱帯地方における巣捕食率を大幅に上回り(温帯北部では2倍に、北極圏では3倍に増加)、昔から続いてきた捕食の緯度勾配が反転していることを見出した。さらなる分析によって、捕食率の増加は周囲温度の上昇や温度差の増大に関係しているとみられ、浜鳥の個体群全体に見られる減少の原因だと考えられることが示唆された。

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