News Release

ブレイン・コンピュータ・インターフェースに人工触覚フィードバックを用いることでロボットアームの操作が改善する

Peer-Reviewed Publication

American Association for the Advancement of Science (AAAS)

視覚だけに頼るのではなく、触覚も再現するブレイン・コンピュータ・インターフェースは、四肢麻痺患者において脳のコントロールで動くロボットアームにより物体を操作する能力を劇的に改善した。この研究の参加者は、健常者と同じように様々なタスクを実行した。ブレイン・コンピュータ・インターフェース(BCI)は、埋め込まれた電極から動作に伴う脳の活動を判定し、それをロボット義肢の意識的な動きに利用するもので、BCIによって制御される義肢は一部の麻痺患者において機能的動作を回復させてきた。しかし、BCI制御システムの使用には限界がある。というのも、BCIは多くの場合、視覚的キューに基づいており、つかんでいる物体の触覚から得られる重要な感覚フィードバックが欠落している。この問題を解決するため、Sharlene FlesherらはBCIに求心性チャンネルを装備して、あたかも手の皮膚からのような感覚的インプットが得られるようにし、その結果、脳への情報を「読み込む」ことと「書き込む」ことの両方ができるシステムを作製した。Flesherらの双方向性BCIは、脳の運動皮質における神経活動を読み取ることで、ロボットアームを操作することができる。それと同時に、ロボットハンドの「皮膚」上にあるセンサーが、経験されている機械力を再コード化して、皮質内微小電流刺激を介して体性感覚皮質にフィードバックし、同システムのユーザーがあたかも自分の手からのように触覚を感じることができるようになる。この研究に参加した男性は28歳で、10年前に受傷した。今回の新規BCIにより、男性は異なる形状の物体を操作すること、例えば紙片で満たされたカップを空けることや、テーブルの右側に置かれたプラスティックを左側にある空のカップに入れるなど、一連の上肢機能評価において作業時間が大幅に改善した。全てのタスクにおいて男性は、触覚フィードバックを提供するBCIを用いないで同じ作業を行う場合と比べて、作業時間が半分に短縮し、中央値で20.9秒から10.2秒に短縮した。「Flesherらの結果は、探索のために多くの道を開くものである。その中には、ロボット工学に進歩をもたらす可能性や、臨床使用可能な触覚を有する人工皮膚の開発、あるいは科学技術によるセンサーを用いてヒトの機能をいかに拡大するかというトランスヒューマニズムの問題提起などがある」と、Aldo Faisalは関連するPerspectiveで記している。

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