image: Kumamoto University's Professor Tetsuya Kida and team have shown that polyoxometalates may be used in a technique to assess quantum dot photoluminescence. Their research is highlighted on the cover of the January 2018 issue of Advanced Functional Materials. [Reprinted from Pramata, A. D., Suematsu, K., Quitain, A. T., Sasaki, M., & Kida, T. (2017). Synthesis of Highly Luminescent SnO2 Nanocrystals: Analysis of their Defect-Related Photoluminescence Using Polyoxometalates as Quenchers. Advanced Functional Materials, 28(4), 1704620. doi:10.1002/adfm.201704620 with permission from John Wiley and Sons] view more
Credit: Professor Tetsuya Kida
熊本大学の研究により、触媒や電気化学、光化学等で使用される「ポリオキソメタレート」が、量子ドットの光ルミネセンス(フォトルミネセンス)のメカニズムを分析する技術にも応用できることが明らかになりました。
「量子ドット」は、通常2ナノメートルから10ナノメートルのごく小さな半導体ナノ結晶や粒子で、約40年前に発見されました。強い光ルミネセンス特性を有しており、バイオイメージングから発光ダイオードまで幅広い光学アプリケーションに役立ちます。ここ10年間における量子ドットの高品質化の研究により、発光性は非常に改善されていますが、有毒な元素や希少元素などを使用するため量子ドットとしては不安定なものになっています。そのため、こうした有毒元素や稀少元素を含まない、安定した量子ドットを作製する研究が進められています。
そこで熊本大学の研究者らは、汎用性の高い、安価で安定した非毒性のコロイド状半導体ナノクリスタルの作製を目指して、二酸化スズ(SnO2)のサイズや形状、光ルミネセンスをどう変化させたらよいかを検討してきました。二酸化スズの蛍光発光特性は、格子欠陥に影響されることが分かっています。
熊本大学環境材料化学分野の木田教授の研究グループは、液相法を用いて酸化スズの量子ドットを合成し、様々な形態の量子ドットを作製しました。量子ドットのサイズは合成中の温度を変えることによって制御できます。作製した量子ドットは、いずれもUV光(370nm)を暴露すると青色の光ルミネセンスを生じ、また、2nmサイズの量子ドットが最も高い強度を示しました。研究者らはさらに、合成した量子ドットの短所に関連する光ルミネセンス特性とメカニズムを調べるため、励起状態反応を通じて蛍光を消光させる材料として「ポリオキソメタレート」を使用しました。
ポリオキソメタレートは、酸化スズ量子ドットの蛍光のうちピーク強度が401nm、438nm、464nmの表面欠陥に由来するものを消光させましたが、驚くべきことにそれまで確認されていなかった410nmのバルク欠陥に由来する蛍光の存在が明らかになりました。
本研究を主導した木田徹也教授は次のようにコメントしています。
「410nmでの発光は、ポリオキソメタレートでは消光できないバルク欠陥によって引き起こされたものと考えられます。このバルク欠陥は、放出されたエネルギーに関連する波長を有する光の自発放出、いわゆる『放射再結合』を引き起こすものです。本研究成果によって、私たちの開発技術が量子ドットの光ルミネセンスメカニズムを分析するのに有効であることが示されました。将来の量子ドット研究にとって非常に有益であると考えています。」###
[Source]
Pramata, A. D., Suematsu, K., Quitain, A. T., Sasaki, M., & Kida, T. (2017). Synthesis of Highly Luminescent SnO2 Nanocrystals: Analysis of their Defect-Related Photoluminescence Using Polyoxometalates as Quenchers. Advanced Functional Materials, 28(4), 1704620. doi:10.1002/adfm.201704620
Journal
Advanced Functional Materials