News Release

恐竜やアンモナイト等の絶滅は「小惑星衝突により発生したすすによる気候変動」が原因だった

大量絶滅時のグローバル気候変動が明らかに

Peer-Reviewed Publication

Tohoku University

Soot May Have Killed Off the Dinosaurs and Ammonites

image: Global climate change caused by soot aerosol at the K-Pg boundary view more 

Credit: Kunio Kaiho

東北大学大学院理学研究科地学専攻の海保邦夫教授、気象庁気象研究所の大島長主任研究官らのグループは、約6600万年前に小惑星の地球への衝突により成層圏に放出されたすすが、地球規模の気候変動を引き起し、恐竜やアンモナイト等の絶滅を起こしたことを、有機分子分析と気候モデル計算により解明しました(図1)。大量絶滅時の地球規模の気候変動を詳細に解明したのは世界で初めてのことです。小惑星の地球への衝突から恐竜やアンモナイトの絶滅にいたるプロセスが見えて来たと言えます。

本研究の成果は平成28年7月14日(英国時間)付けで、Scientific Reports 誌に掲載されます。

詳細な説明:

約6600万年前に小惑星の地球への衝突により地下から成層圏に放出されたすすが、地球規模の気候変動を引き起こし、恐竜やアンモナイトなどの絶滅を起こしたことが、有機分子分析と気候モデル計算により解明されました。小惑星衝突と白亜紀生物の絶滅事件の同時性により、小惑星衝突が恐竜やアンモナイトなどの絶滅を起こしたことはわかっていましたが、なぜ絶滅したのかのプロセスがよくわかっていませんでした。

隕石の衝突現場であるメキシコのユカタン半島では、有機物が堆積岩に濃集していました。海保邦夫教授らの研究グループは、小惑星衝突時にハイチとスペインの海底に堆積した堆積岩中の有機分子を分析し、すすを形成する有機分子が異常に多いことと、また、有機分子はユカタン半島の地下に存在した有機物が衝突により燃焼し放出されたすすであることを明らかにしました。

成層圏に放出されたすすは地球全体に拡散し、数年間成層圏中に浮遊することで、太陽光を効率的に吸収し、地上に到達する太陽光を減少させます。海保教授が成層圏に放出されたすすの量を推算し、気象庁気象研究所の大島主任研究官らのエアロゾル・気候研究グループが同研究所の気候モデルによる計算を実施し、得られた変化量から海保教授が白亜紀末の値を求めることで、成層圏すすエアロゾルによる大気や海洋などの気候変動を復元したところ、今迄の恐竜絶滅のシナリオとは全く違う結果が得られました。これまでは、衝突の冬といわれる寒冷化が原因とされてきましたが、低緯度は恐竜が棲める気温であることがわかりました。しかし、降水量が砂漠並みであり、陸上植物が枯れ、食物連鎖的に絶滅、海は光合成帯が縮小、その後、海は水温低下が起き、アンモナイトが絶滅に追い込まれたと考えられます。ワニやイカなどの生き残りや一部のアンモナイトの絶滅の遅れの理由もわかりました。

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今後の展望:

海保教授らは、別の時代の大量絶滅についても同様の研究を進めていますので、気候変動と生物の大量絶滅の関係が、他の時代についても明らかになることが期待されます。


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