News Release

前回地球を襲った大寒波の冷たい名残が太平洋の深海で見つかった

Peer-Reviewed Publication

American Association for the Advancement of Science (AAAS)

新しい研究によって、何世紀も続いた寒波の冷たい名残が太平洋の深海で見られることがわかった。その研究結果によれば、太平洋深海で観測される現在進行中の寒冷化は、太平洋深海が小氷期(1000年ほど前に始まった寒冷な期間)に発生した海面寒冷化に今もなお対応し続けている証だという。小氷期と呼ばれる共通紀元後の気候異常は、かつて地球上の多くの地域に非常に低い年間平均気温をもたらしたものであり、世界中の古気候記録や歴史記録に残っている。こうした歴史的気候イベントは海面温度に影響を与えており、また海洋が循環しているために、小氷期のような異常に関連した信号が、太平洋深海をゆっくり循環する海水の中で記憶のように保存されているかもしれないという説がある。しかし、こうした信号が過去の海面状態の特徴を正確に表しているかどうかはもちろんのこと、予測可能かまたは検出可能かどうかもまだ明らかでないという。Geoffrey GebbieとPeter Huybersは、海洋循環モデルと現代および過去の測定値とを組み合わせることで、太平洋深海内部における小氷期の寒冷化の影響を検出・定量化した。その結果、太平洋深海で現在観測される寒冷化は、寒冷だった小氷期に海面にあった冷水が流入を続けていると考えれば説明がつくことがわかった。GebbieとHuybersのモデルによる予測は、1870年代の英国軍艦チャレンジャー号の探検航海で得られた測定値と現代の温度観測結果との間に見られる温度変化によって、おもに裏付けられている。さらにこの結果は、地球の熱収支における深海の役割を強調するとともに、1750年以降の太平洋深海における熱損失が海洋上層における地球の熱利得の4分の1近くを相殺していることを示唆している、と著者らは述べている。

###


Disclaimer: AAAS and EurekAlert! are not responsible for the accuracy of news releases posted to EurekAlert! by contributing institutions or for the use of any information through the EurekAlert system.