News Release

ウイルスRNAを利用して未知のアウトブレイクの原因を予測する

Peer-Reviewed Publication

American Association for the Advancement of Science (AAAS)

機械学習を利用することで、未知のウイルス感染症においてウイルスのゲノム配列を利用してその宿主と媒介生物を迅速に明らかにすることができ、この方法によってアウトブレイク時のウイルスの発見、研究そしてその対応までの時間を短縮できる。200種ものRNAウイルスがヒトに感染できることが知られているが、これらが普通の風邪からエボラに至る極めて多様な疾患を引き起こし、毎年数種の新たな種が発見されている。未知のウイルスが原因の感染性疾患によるアウトブレイクは、急速に広がって重大な公衆衛生上の危機となる可能性がある。そうしたウイルスの自然な宿主と媒介生物(媒介するげっ歯類など動物)について、またそれらがどのようにヒトに伝播するのか(例えば、感染したノミによる咬刺を介して)について理解することは、感染するリスクの極めて高い集団を同定する上で、また公衆衛生機関による効果的な対応策に情報を提供する上で有用となり得る。しかし、一部の病原体について媒介する動物を同定するには、何年にもわたる現地調査や実験研究が必要となる場合があり、特に緊急を要する事態においては、迅速な制御および予防の取り組みを大幅に妨げることになる。未知のウイルスの生物学の理解にはまだ何年もかかるとしても、そのゲノムは速やかに入手することができる。Simon Babayanらは、500あまりの一本鎖RNAウイルスのゲノム配列を含むデータセットを統合し、これに機械学習アルゴリズムを適用して、ウイルスの宿主と媒介生物を予測できるモデルを作製した。Babayanらによれば、極めて近縁のウイルス同士は密接に関係する宿主を有していることが多く、ウイルスゲノムの構成にみられる偏りは、宿主とウイルスの関係についての情報を提供してくれるという。著者らのモデルは機械学習を用いることで、宿主が分かっている遺伝学的に近縁のウイルスゲノム同士の間における同時進化のシグナルを検出し、宿主と媒介生物の種類を識別するゲノム上の特徴を同定する。著者らは、まだ十分解明されていないBas-Congoウイルスについて、その宿主が偶蹄類であり媒介生物が小昆虫である可能性を明らかにして、このモデルの予測能力を実証した。関連するPerspectiveでMark Woolhouseは、Babayanらのモデルの限界について論じているが、この研究は「貴重な前進の一歩であり、公衆衛生上価値のある情報をウイルスゲノム配列から直接得る能力におけるさらなる進歩を、希望をもって示すものである」と指摘している。

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