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種分化ではなく絶滅への耐性によって、生態学的に多様な現代の海洋動物相は形成された

Peer-Reviewed Publication

American Association for the Advancement of Science (AAAS)

新しい研究によると、生態学的に多様な分岐群が現代の海洋を支配するようになったのは、相次ぐ大量絶滅イベントの影響をあまり受けなかったために、進化の過程で海洋動物の形態が変化したからであって、種分化率が高かったからではないという。この研究結果は、動物の進化における生態系の役割に関して、従来の理解を覆すものである。現代の海洋では、生態学的分化と分類学的多様性は密接に相関している。しかし、両者の関係の起源と性質はまだ解明されていない。種が分岐してさまざまな生態ニッチに進出すること(生態学的分化)は、種の出現を促す際に必要なものであり、その結果として生態系内の分類学的多様性がもたらされると、長年にわたり広く信じられてきた。このように、多くの分岐群にとって、生態学的分化は高い種分化率の原因および/または結果であると見なされる場合が多い。しかしこの仮説は、特に古生物学的な時間スケールに及ぶ場合や、地球上の動物の歴史を中断させる複数の絶滅イベントにまたがる場合は、これまで検証が難しかった。Matthew Knopeらは、海洋動物の生体(3万74属)と化石(1万9992属)を含む包括的なデータセットを用いて、生態学的多様性と分類学的多様性の関係や、カンブリア紀から現代に至る進化の過程を評価した。Knopeらによると、両者の関係は予想以上に複雑だという。また、今回の研究成果から、現在の海洋に見られるような生態学的多様性と属の豊富さとの間の強い相関関係が築かれる際に、大量絶滅の累積的影響がきわめて重要な役割を果たしたことが示唆されるという。一般的な仮説に反して、著者らは海洋動物の綱における生態学的分化はむしろ低い出現率を伴っており、生態学的に多様な綱は絶滅の影響をあまり受けなかったため、今日では非常に属が豊富になったことを見出した。この研究結果は、生態学的分化と分類学的多様性の間に見られる強い関連性は、比較的最近になって生じたものであるが、5億年を超える進化の歴史を通じて形作られてきたことを示している。

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