image: The nanocarrier treatment reduced cartilage degeneration in the knees of rats with joint injuries (bottom right) compared to untreated rodents (top left, degeneration outlined in red). This material relates to a paper that appeared in the Nov. 28, 2018, issue of Science Translational Medicine, published by AAAS. The paper, by B.C. Geiger at Massachusetts Institute of Technology in Cambridge, MA; and colleagues was titled, 'Cartilage-penetrating nanocarriers improve delivery and efficacy of growth factor treatment of osteoarthritis.' view more
Credit: B.C. Geiger<i> et al., Science Translational Medicine </i> (2018)
科学技術チームが、消耗性関節疾患げっ歯類モデルの膝関節軟骨への変形性関節症薬の送達を改善する荷電分子をデザインした。このアプローチは変形性関節症治療における大きなアンメット・クリニカル・ニーズに対処できる治療法として「かなり有望である」と、関連したFocusでChristopher Evansが指摘している。変形性関節症は世界の2億人に影響を与えており、疼痛、炎症、そして患者の低いQOLに至る関節軟骨の変性が特徴である。現在の治療法は、症状が悪化したときには管理できるが、疾患経過を変えることはできない。また、多くの薬剤候補は以下の2つの理由で臨床試験ではうまくいかない。薬剤が有効性を発揮する前に関節から消失してしまうこと、そして薬剤が軟骨産生細胞（軟骨細胞）を取り巻いている分厚い関節組織を効率的に透過できないこと。Brett Geigerらは「ナノキャリア（物質の輸送に使う非常に小さな分子）」を作製することでこれらの障害の克服を試みた。デンドリマーと呼ばれるこのナノキャリアは、マイナスに荷電した軟骨組織に効率的に結合できるプラスに荷電した表面を持ち、組織深くまで浸透でき、関節腔での半減期が長い。Geigerらは、IGF-1と呼ばれる軟骨の増殖支持因子をデンドリマーに結合させ、この化合物を注射すると、2日以内に乳牛の軟骨（厚さがヒトの軟骨とほぼ同様）を透過できることを明らかにした。変形性関節症のラットモデルでは、デンドリマー・IGF-1の単回注射により、ナノキャリアなしで投与したIGF-1よりも安全かつ有効に軟骨と骨の完全性が回復し、損傷を受けたラットの膝の軟骨変性の幅が60%減少した。Geigerらは、臨床試験で試す前に、大型の動物モデルでこの技術をさらに検討すべきだと述べている。
###
Journal
Science Translational Medicine