News Release

高輝度放射光(SPring-8)を用いて STT-MRAM用極薄MgOトンネル障壁膜の化学結合状態の微視的変化の観測に初めて成功

原子拡散挙動を決定する化学結合状態の 微視的観測により高性能STT-MRAMの開発を加速

Peer-Reviewed Publication

Tohoku University

Accelerating Development of STT-MRAM

image: Center for Innovative Integrated Electronic Systems (CIES) at Tohoku University view more 

Credit: Tohoku University

指定国立大学法人東北大学国際集積エレクトロニクス研究開発センター(以下、CIESと略称)の遠藤哲郎センター長(※)のグループと公益財団法人高輝度光科学研究センター(理事長 雨宮 慶幸:兵庫県佐用郡佐用町光都1丁目1番1号)は、共同で、CIESコンソーシアム産学共同研究プロジェクト「不揮発性ワーキングメモリを目指したSTT-MRAMとその製造技術の研究開発」プログラム及び科学技術振興機構 戦略的創造研究推進事業(研究代表者:遠藤哲郎)において、低消費電力性能と高性能を兼ね備えた磁気ランダムアクセスメモリ(STT-MRAM)の性能を決めるCoFeB/MgO磁気トンネル接合内のMgOの微視的な化学結合状態の変化を角度分解硬X線光電子分光法(AR-HAXPES)により解明することに成功しました。

本研究の成果は、絶縁膜の微視的な化学結合状態を調べる方法の確立という学術的な観点に加えて、現在、量産が始まっているSTT-MRAMの量産技術の発展という産業界に対しての貢献も大きいものとなります。

東北大学青葉山新キャンパスでは、次世代放射光施設SLiT-J(Synchrotron Light in Tohoku, Japan)の建設が進められています。本施設では、SPring-8との役割分担の視点から、材料や素子解析に適している軟X線の光源を活用することが可能となるため、本研究で開発された化学結合状態の微視的観測技術の更なる高度化が図られ、引いては、STT-MRAMなどの今後の電子デバイス材料開発がより一層加速されることが期待されています。

※以下の職を兼務: 東北大学大学院工学研究科教授、先端スピントロニクス研究開発センター(世界トップレベル研究拠点)副拠点長、スピントロニクス学術連携研究教育センター部門長

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