News Release

Scienceの2019年ブレークスルー・オブ・ザイヤー:ブラックホールの初画像

Peer-Reviewed Publication

American Association for the Advancement of Science (AAAS)

これまで不可能だと考えられていた偉業を成し遂げたとして、Scienceは「イベント・ホライズン・テレスコープ(EHT)」による超大質量ブラックホールの撮影を2019 Breakthrough of the Yearに選んだ。この画像によって、既知の宇宙の中で最も暗く最もとらえにくい現象のひとつが明らかになった。「今年は科学にとってよい1年でした。しかし、一番すばらしかったのはブラックホールを実際に見られたことではないでしょうか?魔法のように聞こえますが、チームワークと技術によって実際に成し遂げられた驚くべき快挙なのです」と、Scienceのニュース編集者Tim Appenzellerは話す。ブラックホールは非常に高濃度の天体で、重力がたいへん強いために、周りにある物を何でも(光までも)つかまえて飲み込んでしまう。光を反射しないので、ブラックホールはたいてい周りの景色にまぎれて、漆黒の空間に完全に隠れている。しかし、その周りにある高温で明るく輝くガスを撮影することによって、200人以上の科学者からなるEHTチームは、メシエ87(M87、地球から約5500万光年の彼方にある銀河)の中心にある超大質量ブラックホールのシルエットをとらえることに成功した。非常に巨大で、M87のブラックホールは太陽の65億倍重く、銀河系の標準よりは小さくほぼ太陽系と同じサイズである。「まだ少し呆然としています」と、米国スタンフォード大学の宇宙物理学者Roger Blandfordは言う。「こんなに象徴的な画像が得られるなんて、だれも想像していなかったと思います」。また、遠方の天体をとらえたこの歴史的な画像は、世界中の人々の心をとらえて興味をかきたて、国際ニュースのトップ記事になったりインターネットで拡散されたりして、瞬く間に米国国立科学財団のウェブサイトで史上最もダウンロードされた画像になった。現在、さらに高い分解能で観測する計画も進行中である。「今年の成功はこの研究プロジェクトのスタートであって、クライマックスではありません」とBlandfordは語った。

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