video: Researchers in the laboratory of Caltech's Frances Arnold discuss how they persuaded nature to make silicon-carbon bonds. This material relates to a paper that appeared in the Nov. 25, 2016, issue of Science, published by AAAS. The paper, by S.B.J. Kan at California Institute of Technology in Pasadena, Calif., and colleagues was titled, "Directed evolution of cytochrome c for carbon-silicon bond formation: Bringing silicon to life." view more
Credit: Frances Arnold Lab/Caltech
新しい研究の報告によると、多少の微調整をすることで、ヘムタンパク質は炭素‐ケイ素結合の形成を効率的に触媒するという。ケイ素を含む有機化合物は、ポリマーから半導体に至るまで、数多くの用途にとって重要である。しかし、炭素‐ケイ素結合を形成する生化学過程は知られていない。そのうえ、既存の合成方法には、たとえば高価な微量金属が必要であったり、場合によっては最適に機能するために低温にする必要があったりと、制約がある。Jennifer Kanらはより優れた触媒を求めて、炭素が関与するさまざまな反応を触媒しうるヘムタンパク質に注目した。ヘムタンパク質の一種であるシトクロムcは、アイスランドの海底温泉に生息する細菌から見つかったものであり、ケイ素と水素が関与する反応を特に効率的に触媒した。Kanらはこのタンパク質の結晶構造を表すにあたり、特定の変異によってタンパク質上に活性部位ができることで、ケイ素と炭素に基づく反応を促進するのではないかと推測した。実際に、ごくわずかな小さい変異によって、このタンパク質は効率的な炭素‐ケイ素結合の触媒に変わった。これは現行の合成技術の15倍も効率がよい。さらに、この酵素は電子豊富なケイ素試薬も電子不足のケイ素試薬もどちらも受け入れる。つまり、幅広い(少なくとも20種類までの)ケイ素生成物の生成を促進できる、と著者らは示している。この成果については、Hendrik F. T. KlareとMartin OestreichがPerspectiveで取り上げている。
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