News Release

前生物的RNA合成の新しい統一経路

Peer-Reviewed Publication

American Association for the Advancement of Science (AAAS)

RNAワールド仮説をさらに強く支持するものとして、Sidney Beckerらが、これまで明らかにされていなかった、RNAの重要な構成要素であるプリンヌクレオチドとピリミジンヌクレオチドを両方作り出せる単一の化学経路を発表した。この統一的合成は「乾湿」サイクルと呼ばれるアプローチにより可能であったと著者らは述べている。これまでRNAワールド仮説では、ワンポット合成で全てのワトソン-クリック塩基対が同時代に形成されたことを説明するのに苦労していた。「2つのクラスのRNAヌクレオチドについてそれぞれ異なる前生物的合成が示されていた…しかし、両方を作り出せる単一の地球化学的シナリオはなかった。」と、関連するPerspectiveで、Nicholas HudとDavid Fialhoは述べている。RNAワールド仮説は、RNAが地球上初の生体物質であり、DNAとタンパク質が進化する前にRNAが増殖したことを示唆している。RNAの性質から概念的にRNAワールドが妥当であろうと考えられているものの、RNA前駆体を作り出す矛盾のない前生物的地球科学的シナリオは説明しにくかった。妥当そうなプリン合成経路を実証したこれまでの研究に基づき、Beckerらは今回、ピリミジンヌクレオチドも同一の地球科学的状況下で合成できることを明らかにした。この結果は、初期大気条件下で形成されうるヒドロキシルアミンが合成経路の重要な出発原料であることを示している。乾燥条件と湿った条件の繰り返しによって、相補的な各ヌクレオチドの合成を完了するために必要な環境が提供される。「前生物的イベントの引き金として考えられることが多い火山の噴火や隕石の衝突とは異なり、乾湿サイクルは前生物学的地球の地表の陸地の全ての部分で常に起きていたイベントであろう」とHudとFialhoは述べている。著者によれば、この研究の知見はワトソン-クリック塩基対の形成の妥当そうな解決策を提示しているが、RNAの構造骨格を形成する炭水化物の合成の詳細は不明なままである。

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