News Release

人間活動がチンパンジーの文化的多様性を急速に壊している

Peer-Reviewed Publication

American Association for the Advancement of Science (AAAS)

新しい研究により、私たち人間の活動は私たちに最も近い親戚であるチンパンジーの文化的な行動や伝統に多大な影響を与えていることが判明した。この研究結果は、人間の活動が動物種に対して複雑で広範囲にわたる影響 —— 個体数や生息地の減少を上回る影響 —— を及ぼすことを明示するとともに、より統合的な方法でチンパンジー独自の行動の多様性を認識し、保護する必要があることを示している。チンパンジーの示す行動と文化の多様性はレベルが高く、それゆえにチンパンジーは他の大多数のヒト以外の種とは一線を成している。道具の使用など、彼らの文化的行動の多くは社会的に学習され、伝えられるもので、地域的伝統のように群れによって異なる場合もある。これらの文化的行動はそれらを示すチンパンジーの群れと同様に環境撹乱に弱いことが示されている。資源が枯渇したり、行動を学習する機会が減少したりするためである。この「撹乱仮説」では、周知のことであるが、チンパンジーの群れに対する人間の影響は個体数の減少のみならず、チンパンジー独自の伝統的行動の喪失にもつながる可能性があると予測されている。しかし論文の著者らによると、人間に起因する生息地や個体数の減少がチンパンジーの行動や文化の多様性にどの程度の影響を及ぼすかについてはよく分かっていないという。Hjalmar Kühlらはこの問題と取り組むべく、過去に研究対象になったことのない、もしくは人間に調査されることに慣れていない144のチンパンジーの群れについて、その環境や社会、個体群統計、行動の観察データを非侵略的に収集し、チンパンジーの群れの行動について前例にないデータセットを作成した。そして、それぞれのチンパンジーの群れ内における特定の行動の総合的な発生率とその周辺の人間活動の程度を比較した。その結果、分析が行われた全ての行動について、人間の影響が最も小さい群れと比較して、人間の影響が大きい地域の群れは発生率が88%低いことが判明した。

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