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未治療の癌転移病変間でドライバー遺伝子はほとんど同一

Peer-Reviewed Publication

American Association for the Advancement of Science (AAAS)

一人の癌患者における複数の転移病変の発現は、同じ遺伝子変異によって引き起こされる。この知見から、広範な転移を有する患者でも、単一の転移病変の生検によって、腫瘍専門医が最適な治療を選択するのに十分な情報が得られる可能性があることが示唆される。原発腫瘍が診断された患者に対する治療決定は現在、腫瘍内でその増殖を促進する遺伝子変異の分析結果に基づいて行われることが増えている。がん患者において、転移は原発腫瘍の治療後数ヵ月から数年後に発現することがある。転移は大部分のがん関連死亡の原因となっているが、その割にはこうした転移病変におけるドライバー遺伝子変異についてはほとんど分かっていない。この現状は、原発腫瘍のサンプルは採取がより容易であることや、転移病変を有する患者は、新たな遺伝子変異を誘導する薬物による治療を受けていることが多いために分析が困難となり得ることが原因となっている。今回Johannes Reiter、Bert Vogelsteinらは新たな研究において、様々なタイプの癌(乳癌、大腸癌、子宮内膜癌、胃癌、肺癌、黒色腫、膵臓癌、前立腺癌など)を有する20人の患者の未治療の転移病変76個の分析を行った。その結果、一人の患者の異なる転移病変には同じドライバー遺伝子変異が認められることが分かった。さらに、任意の一人の患者における全ての転移病変に存在が認められないドライバー遺伝子変異は機能効果を有さないらしいことが示された。これらの結果から、著者らは、これらの観察結果を説明するものとして、腫瘍の増殖および進化の数学モデルを構築している。

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